第70話『VS.魔王軍幹部』
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十分に理解している。今まで孤独だった自分に、手を差し伸べてくれた。初めは鬱陶しいと虐げてたけど・・・それでも、友達と呼べる存在なのだと思う。
──だから俺は、この場を引き受けたのではないか。
「……っ」
時間稼ぎだけで良い、倒すのは二の次。そう考えていたから、自分はここを引き受けた。自分なら狡猾なやり方で、きっと何とかなるのだと。ただ、結果はご覧の有様だが。
──こんな無様な姿、三浦には見せられないな。
「……」チャキッ
ミストが懐から小さいナイフを取り出す。なんだ、やっぱり持っていたじゃないか。どうやら確実に殺す時にだけ使うみたいだ。
「すぅ……」
別に死ぬことに対して何か感じる訳では無い。所詮これが人生ってもの。ふとしたことで人は死ぬ。異常って言われるかもしれないが、これが俺の考えだ。そりゃ人が近寄ってくる訳がない。
だからといって寂しい訳でもない。頭の悪い連中と絡んでいたって、良いことなんか一つも無いのだから。
魔術部だって、言ってしまえばバカの集いだ。どうして俺が居るのか謎なぐらいに──そう、謎なのだ。俺にかかっても明確な答えなんて出ない。けど、自分なりに答えを求めてみたら、そうさな・・・
伸太郎は大きく息を吸い込む。
「あの居場所が、俺は好きなんだよっ!」ポワァ
「……!?」
刹那、一瞬で眩い光が森を包み、そして──爆ぜた。
*
「なんだ?!」
「爆発…?!」
耳を劈く程の爆音は森中に響き渡った。晴登らもそれを聞き、何事かと来た道を振り返る。見ると、森の一部で山火事が起こっており、黒煙が揚がっていた。
「暁君…?」
デジャヴと共に、嫌な予感を抱える晴登。しかし、戻ろうとする足を咄嗟に引き止めた。
「結月…!」
あの場は伸太郎に任せると決めたのだ。自分は前を向かなくてはならない。結月を救うという、使命が有るのだから。
「…キッヒッヒ。ようやく来やがったか。待ちくたびれたぜ」
「新手か?!」
晴登らの前に再び幹部と思わしき人物が登場する。ボサボサの金髪で鋭い目と口をした悪人顔だ。
「どーも初見さん達……いや、そこの婆さんだけは違ぇか。まま、どうでもいい。俺様は魔王軍幹部、"吸血鬼のブラッド"ってんだ。かっこいいだろ?」
陽気な口調で挨拶するブラッド。婆やのリストアップした名前の一人である。長年魔王軍と戦ってるだけあってか、婆やとは顔見知りなようだ。
「ちょいとウィズが先走っちまったみたいだが、もう誰か殺しちまったかな?」
「…!」
嬉しそうに舌舐めずり
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