第39話 学園祭
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はい……」
「そこで、わしらも微力ながら力になれればと思ってな」
「え……?」
「テレサ院長、どうぞ受け取ってください」
テレサさんがきょとんとしているとジルと呼ばれた女子生徒が分厚い封筒を渡した。
「これは……?」
「来場者から集まった寄付金でちょうど100万ミラあります。孤児院再建に役立ててください」
100万ミラだって!?凄い金額じゃないか!
「ど、どうしてこんな……」
「今回は侯爵やボース市長など多くの名士が来場したからのう、例年よりも多く集まったのだよ」
「そんな……いけません!こんなものは受け取れません!」
「遠慮する必要はありませんよ。毎年学園祭で集まった寄付金は福祉活動に使われていますから」
「孤児院再建に使われるのなら寄付された方々も納得されますって」
「でも……そんな……」
テレサさんはまだ納得できないようだ、根が真面目だから寄付金を使う事に罪悪感を感じているんだろう。
「テレサ、貰っておきなよ」
「フィルさん……」
「テレサの気持ちもわかるよ。でもこれだけの多くの人が孤児院を再建することを望んでここまでしてくれたんだよ?それを受け取らない方が返ってその人たちの気持ちを無下にしちゃうんじゃないかな?」
「フィルの言う通りだと思います。あなたは子供たち、そして寄付金をくれた方々の……そして何より自分の為に今は拘りを捨ててでもそのミラを受け取るべきです」
フィーと俺の説得にその場にいた全員が頷いた。
「……ああ……もう……なんとお礼を言っていいのか……ありがとう……本当にありがとうございます」
テレサさんはその場で膝をついて涙を流した。
「良かったね、本当に……」
「ああ、これで一件落着だ」
俺とフィーはテレサさんを心配して駆け寄る子供たちを見ながら心から良かったと思った。
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