第39話 学園祭
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くヨシュアさんだ」
なんとセシリア姫の役は男であるヨシュアさんが演じていた。後から出てきたメイドが男だったのを見て俺はこの劇は男女の配役を逆にしていると分かった。
しかし似合い過ぎだろ……知り合いじゃなかったら気が付かないぞ。周りの人たちもメイドを見てクスッとしていたがセシリア姫は「姫だけは女性が演じているのか?」なんて言う人がいるくらいだ。
更に劇は進むと今度は赤い衣装を着たエステルさんと青い衣装を着たクローゼさんが現れた。どうやらユリウスがエステルさんでオスカーがクローゼさんらしい。でもよく似合ってるな。
「……」
フィーも周りの人たちも全員が劇に集中していた。それから劇は一気に進んでいく。メインのキャラであるオスカーとユリウス、そしてセシリア姫は幼馴染で最初は仲の良かった友人同士だったが次第に勢力争いに巻き込まれていき、ついにはセシリア姫をかけて二人の騎士が対立するところまで物語が進んでいった。二人の騎士が激しい剣の交戦を繰り広げていく中で等々決着が付く場面になった。
『次の一撃で全てを決しよう。自分は……君を殺すつもりで行く』
『オスカー……分かった。私も次の一撃に全てを賭ける』
二人の騎士はそれぞれ離れた位置に飛び、必殺の構えを取る。
『さらなる生と、姫の笑顔。そして王国の未来さえも……生き残った者が全ての責任を背負うのだ』
『そして敗れた者は魂となって見守っていく……それもまた騎士の誇りだろう』
二人は最後の会話を終えて決意したように同時に飛び出した。二人の剣が互いを貫こうとした瞬間、何者かが二人の間に割って入ってきた。
『あ……』
『なっ……!?』
『セシ……リ……ア……?』
二人の間に入ったのはセシリア姫だった。二人を止めるためにセシリア姫は身を挺したが代わりに二人の剣に刺されてしまう。
『ああ……目が霞んで……ねえ……二人とも……そこに……いますか……?』
『はい……』
『君の傍にいる……』
『不思議……あの光景が浮かんできます……幼いころ……お城を抜け出して遊びに行った……路地裏の……オスカーも……ユリウスも……あんなに楽しそうに……笑って……わたくしは……二人の笑顔が……大好き……だから……
どうか……いつも……わら…い……て……』
『姫……?嘘でしょう、姫!頼むから嘘だと言ってくれええ!!』
セシリア姫は最後まで二人の事を想いそして命を落としてしまった。
「……ぐすっ」
ヨシュアさんが演じるセシリア姫の表情は満ち足りた儚い笑みを浮かべ、今にも死に絶えそうな声に演技だと分かっていても涙が出てきてしまった。
「あっ。リィン、あれ……」
「あれは……」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ