第五十話 今度は南へその十
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「それでもな」
「身体にはいいか」
「酒を飲んだ時はな、じゃあここで酒を一気に抜いて」
「そうしてだよな」
「身体も奇麗にしてな」
「まずはヴェネツィアに向かうか」
「そうしような」
こう言ってだ、芳直は一旦湯舟から勢いよく身体を立たせた。そうして久志に笑みを浮かべてこう言った。
「水風呂行って来るな」
「あそこでか」
「身体冷やしてな」
そうしてというのだ。
「またこっちに戻って来る」
「そうか、じゃあ俺はな」
「水風呂に入ってか」
「ちょっとサウナに行くか」
こう考えたのだ。
「そうするか」
「自分サウナ好きだな」
「ああして汗かくのが好きなんだよ」
「だからか」
「ああ、この風呂場にもサウナあるしな」
そのサウナルームの方を見て言う、見ればわりかし見事な造りで広い。
「あそこに入って」
「そうしてか」
「汗をたっぷりかくさ」
「それで酒を余計に抜くか」
「そうするさ」
「私もそうします」
「僕もね」
「おいらもサウナだよ」
順一と剛、淳二は久志と一緒だった。
「あそこでも汗をかいて」
「それですっきりしたいね」
「それもかなり汗をかきたいです」
「俺はここに残る」
正は湯舟にと言った。
「まだまだ入られる」
「僕は水風呂からまた湯舟だよ」
源三はこちらだった。
「そうするよ」
「皆結構分かれるな」
「別にいいじゃない、お風呂の入り方位」
源三は風呂の入り方については笑って久志に返した。
「別に生きるか死ぬかじゃないんだし」
「それはそうだな」
「だったらね」
「ここではか」
「それぞれの入り方で」
それで楽しんでというのだ。
「そうしてね」
「すっきりしてか」
「ヴェネツィアに向かおうね」
「そうするか、しかし相当広い川なんだろうな」
久志はまだ湯舟の中にいる、既に芳直は湯舟から出て水風呂の方に向かっている。順一と剛、淳二もそちらに向かっている。
「相当大きな船だったしな」
「そうだね、あの船で行くとなると」
「広い川だな」
「日本にはない感じのね」
「ああ、日本の川はな」
久志は自分達が起きている世界にいる国の川のことをここで思い出した。
「淀川にしてもな」
「あの川もね」
「そんなに幅ないしな」
「向こう岸が見えないとかね」
「ないからな」
「そうした川はないから」
日本にはというのだ。
「だからね」
「川を行き来する船もか」
「大きいんだよ」
「そうなんだな、そういえばな」
ここで久志は彼等が起きている世界の欧州のことをまた思い出した、今度思い出したことは何かというと。
「あっちじゃ海から川に入って普通に行き来してるな」
「船がね」
「そういうことか、川も深いしな」
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