第4話 勇者・動く死体
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たが、貴方………。……貴様は。そうだったんですか……」
怒りの表情のままに 邪悪な圧力を直接ゾロに向けるが、これも暖簾に腕押しだった。
攻撃手段に移りたいのだろう。拳が不自然に力を籠められ僅かに震えていたが、直ぐに力を抜いていた。
「……く、人間とも神とも言えない存在になってしまった事に怒りを覚えたのは今が初めてです。……殺す事が出来なくなったのですから」
忌々しそうに自分の身体を見下ろしていた。
それを見たゾロは満足……とまではいわないが、興味が無くなったかの様に踵を返した。
「何処行く……?」
「RA期に入り、人の範疇を超える様な行動はとっていない……と訊いてはいたが、間違っていないと確信出来たのでな。もう、今のお前には用はない。……元々、この洞窟へはゲイマルクを見に来る為に来た。お前自身には端から用などは無い」
「いちいち癇に障る男ですね」
「気が合うな。私もお前の存在そのものが不快だ。……あぁ、ものは次いでだ。もう1つだけ吐いて行こう」
ゾロは進める脚を止めた。
だが、振り返る事はせず 声を低くさせながら言った。
「コーラス0024」
「……なッッ!?」
先程までゾロを睨み付けていたのだが、その表情は消え失せ驚愕の表情へと変えた。
理由はこの人間界で 未だ名乗った事の無い真名を 目の前の男が口にしたからだ。
ゾロは そのまま 続けた。
「……目障りな真似はするな。……1年後に興味があるのなら、努々忘れぬ事だ。……さもなくば」
極限までの殺気がこの洞窟内で暴れ狂う。
所々の岩が砕け、地面に亀裂が走り、ゲイマルクに至っては立つ事さえ出来ず、倒れ込む。コーラス…… コーラにもそれは例外ではなかった。圧倒的な力。どれ程離れているか判らない力を前にして 脚が全く動かなくなってしまっていた。
故に――。
「……消すぞ」
その言葉が大言壮語の類ではない、と直ぐに理解したのだった。
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