第4話 勇者・動く死体
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だが、現在では人間、魔物、亜人。全ての生き物が盤上一致で人間界のこの場所を世界一の危険地帯と認識している。その理由は当然ながら魔王ランスがいるからだ。この場所に魔王の城 アメージング城が存在する。
故にこの場所では生物の気配がしないのだ。魔王が、そしてその配下の魔人がこの場所にいるから。
『……幾らなんでも』
「それはない、か?」
『ああ。例えるならレベル@でいきなりマルグリット迷宮第10層以降に侵入したり、魔王が来る前のこの場所に挑戦したり……いや、それ以上か。悪魔界や天界に普通の人間が殴り込んだり…… それ位の事だと思うが』
「的確な例え話だな。私もそう思う」
つまり、無謀を通り越している、と言う事だ。この場所にいきなり来ると言うのは。
だが、そう言う訳かゾロは本気だった。
「見た感じ、ではあるが、色々と理性はあるものの 突拍子もない事をしそうな雰囲気でな。クルック―とユーリ・ローランドの息子だ。危うさを感じても不思議ではないだろう?」
『………それを言われると反論のしようがないな』
一発で納得してしまう破壊力がある言葉だった。
昔のクルック―を考えると……、そして ユーリ・ローランドの事を考えると……。
「それに此処には、あの哀れな男もいる。また、馬鹿をしてないかの確認の意味もあるかもな」
『あぁ。あの男か。因果応報、自業自得とも取れるが、あの男の傍にいる下っ端のせい……とも考えられるから一概にはオレは言えない』
「うむ。………では行ってみるか」
踏みしめる様に、この翔竜山を登っていく。
暫くは緩やかな傾斜が続き、時折吹く風はまさに豪風。肌を刺す冷気を纏い、そして 天に近い位置にいるからか照り付ける太陽の熱は宛ら砂漠を連想させる矛盾の秘境。
だが、この翔竜山の気候は恐らくは地理的問題にあるだけではない。此処に住まう魔王がもたらすのだ。そう、天候さえ変えてしまう程の圧倒的な力を持つ魔王が。
が、ゾロにとってはそれは関係ない、と言わんばかりに歩を進め 軈て洞窟へとたどり着く。
「気配が濃くなってきた。……ここか」
言葉の通りだった。
洞窟の中を覗くと、その中には何かがいた。それは人間ではなく、魔物とも言えない異形の姿。その者にゾロは冷やかな視線を向けた。先程の雰囲気とはまるで違う絶対零度付近にまで冷めた眼で、その者を見ていた。
「……久しいな。ゲイマルク。魔の気配に誘われたか」
「…………」
人型の何か……身体中の肉と言う肉がただれ落ち、骨は露出し 眼球は辛うじてつながっているだけの状態。このゾンビ状態になっているのが且て人間界に災いを齎した勇者ゲイマルクなのだ。
「どうだ。調子の程は」
「…………」
ゾロは
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