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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#4
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も言葉を重ねていく。
「彼は《彼女》のために何でもする。そしてその方法は絶対に許されない。……私は、どうすればいいの?話し合えば――――ぶつかれば、いいの?」
「ぶつかって止まるようなら、もっと前に止まってるだろ」
新しく実体化させたスキットルの蓋を捻りながら、テオドラは言う。
「いけないことをやるヤツってのは、ある程度パターンがある。純粋な正義感でやらかす
勘違い野郎
(
バカ
)
、好奇心や直情的な感情に従う
下半身野郎
(
クズ
)
、ここまではまだハナシアイで解決できる余地がある。だが一番厄介なアホは、全部丸っと分かってる開き直り野郎だ」
ぐびりと酒器を傾け、口元をワイルドに拭いつつ女性は続ける。
「こういうヤツは気色悪いよ。勘違い野郎もだいぶアレだが、それでも労力的な意味でキツいってだけだ。だが、この手のバカは利益度外視でやらかす。しかも説得しようにも、マイナスな意味で理論武装が完成しているから説得の効果もない。分かるか?説得次第でどうこうできる前者二つのバカ野郎より、説得のテーブルにそもそも乗り終えている野郎はぶつかろうが何しようが止まらねーの」
やるだけ無駄だ諦めな、と冷めた口調で言うテオドラと入れ違いになるように、若干の苦笑を口元に浮かべた好々爺が口を開いた。
「ぶつかる――――話し合うという行為も、もちろん無意味な訳じゃない。信じるということは尊く、清らかで美しいものだからの。……じゃが、世の中はえてして卑しく、濁っていて醜いという現実もちゃんと見なさい。理想論だけで背を押すのは残酷な人間のすることじゃ」
「そして誠実で優しいヤツぁ普通、現実を語る。それが一番本人のためになると分かっているからだ」
「その通りじゃ。そしてこれを含めて、儂の見解を言おうかのぅお嬢さん」
老人は掘りの深い顔の中で、糸のように細い目を静かにこじ開ける。
飄々とした調子ではない。まるで大樹が如き歳月を過ごした獣が起き上がったような雰囲気を羽織った老翁は、厳かとさえ思える口調でこう言った。
「見捨てろ。そんな阿呆を想える心を持つようなお前さんがかかずらうような価値を、その男は持たんよ」
「……っ」
そこまでどこかぼんやりとしていた少女の南天の実のような瞳に、そこで初めて明確な力が宿ったようにテオドラは感じた。
「彼を悪く――――ッッ!」
「いいや、言わせてもらおう、お嬢さん。ジジィのお小言は聞くもんじゃ」
「イロイロ経験してる、大人のおねーさんの助言もな?」
二人で顔を見合わせて、めったに見せない悪戯めいた笑みを交換させながら、齢も性別もまったく違う両者は言葉を繋げる。
「先刻も言ったが、お嬢さんの乗りかけているその船は泥船じゃ。先に光も目的地もない。待っているのは確
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