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SAO─戦士達の物語
MR編
百五十三話  王墓の死霊
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にでもいるかのように、それらの動きにリョウたちは振り回される。

「くそっ!?」
「キリト君!」
「あぶなっ!?」
「み、みなさ、ひゃぁっ!?」
「アスナ!?」
「チッ!?」
体制が保てないまま、仲間達の声がそこいらじゅうから響き渡る。次から次へと立て続けに変化していく地形の向こうで視界が大混乱を起こし、既に彼らがどこに居るのかろくに確認することもできない。そんな中……

「きゃぁぁあっ!?」
「!んなろっ!」
視界の端に、体制を完全に崩したシリカが移り、何とか近場に会った石材を足場に体を跳ね上げて彼女に向けてリョウは飛び込む。彼女の身体を掴んだ、と思った途端に、周囲に渦巻いていた轟音が止んだ。
そして……

────

「っと!!」
「ひゃっ!?」
突然周囲の変化が収まり、地面が安定……リョウはシリカを抱えたまま、何とか着地する。

「……シリカ、無事か」
「ぅ……ひゃぁっ!!?り、りり、リョウさん!?何を……」
腕の中で顔を真っ赤にして狼狽する少女に、リョウは緊張感のなさからか微妙に苦笑しながら肩をすくめた。

「お前が頭から落ちるのを阻止してやったんだよ。ほら、立てっか?」
「あ、はい……ありがとうございました……」
脚からゆっくりと下ろしてやると、シリカは少しよろけそうになりながらもなんとか地面に立つ。少し足をしっかり踏ん張るようにして立った彼女は、首をプルプルと振りながら、何とか体にしがみついていたピナを一度撫でて、リョウを見上げる。

「うぅ、でも、一体何が……」
「周りを見てみろ、ようは、こういう事だろうぜ」
「え……?」
彼女がキョロキョロと周囲を見回すと、そこは細い通路のようになっていた。先ほどよりも更に光源は少なくなり、通路には細々と松明の明かりがともるだけ、揺れる火が、二人の影をユラユラと揺らし、不気味な明暗を作っている。
後方には行き止まり、前方には道が続いているがしかし、最大の問題は其処ではない。その場所には「シリカとリョウ」しかいなかったのだ。
つまり、他のメンバーと自分達は……そう気が付いて、シリカは一気に胸の中がざわつくのを感じた。

「そんな……アスナさん!?サチさん!」
「やれやれだな、こりゃ……っ、シリカ、構えろ」
「えっ!?」
突然、リョウが鋭く息を吐き、緊張の度合いが一気に増す。耳を澄ませると、通路の奥から、硬く、乾いたものがすれるような音が響いているのが分かった。それは不規則に鳴り響き、徐々に、徐々に大きくなっていく、大量に響き渡るその聞きなれた音は間違いなく、大量のスケルトンの足音だ。

「来るぜ、取りあえずはこの場を切り抜けなきゃならねぇ、行けるな!?」
「は、はいっ!ピナ!」
「キュクルゥゥッ!!」
二人と一匹が戦闘態勢に
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