MR編
百五十三話 王墓の死霊
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世界の住人として位置付けられている以上、その感知の対象になる。自然、範囲内にクエスト受付のNPCが居れば、それを見つけることが出来る理屈だ。しかし……
「……ゴメンね、やっぱり見つからない、もう少し上位の魔法が使えたらよかったんだけど……」
「サチさんの所為じゃないですよ」
何も見つけられなかったために詫びた言葉に、シリカは笑って首を横に振る。近くに来たアスナが、からかうような声色で続けた。
「そうだよ、誰かさんがちゃんと探索系の技能取ってたら、こんなに苦労しなくて済んだはずだもん」
「い、いやぁ、ははは……前衛としてのビルドにしてると、そっち方面はやっぱりおざなりでさ、はは……」
この中では唯一のスプリガン、数年前までは「探索」のスキルを最大まで上げていたものの、ALOに来てからはすっかり前衛一辺倒になったキリトが申し訳なさそうな、微妙そうな表情で後ろ手に頭を掻く。
「そ、それにほら!今は昔みたくソロじゃなくてみんなが居るしな!オレも人に頼る事を覚えて成長したんだよ、ウン」
「調子良い事言ってんなぁお前」
「うっ……って、兄貴だって戦闘一辺倒のビルドだろ!?」
「あぁん?俺は聞き耳とってるっつーの!」
「あっ!?ねぇ!あれ見て!!」
非常にくだらない意地の張り合いを始めた兄弟をよそに、周囲にぐるりと視線を巡らせていたユウキが、突然一点を指さして叫んだ。女性陣が一斉に其方に視線を向ける。
「んー?」
「あれ?あの黒いの……」
「ちょっと待って今望遠するから」
アスナが魔法を唱えると、氷のレンズが遥か彼方に居るその黒い影を拡大して見せる。それでもまだ遠くはあったが、其れは紛れもなく……
「あ、人です!」
「えっ……?」
「きっとあれじゃない!?」
「おぉ、こっからだと殆ど見えないのに、凄いねユウキちゃん!」
「えへへ〜」
魔法も含めた手段抜きに、裸眼だけで遥か彼方の人影を見つけて見せた彼女にメンバーが次々に称賛を送る中……
「だから悪趣味だとか言われるんだろ」
「ハッ、取ってもいねぇスキルよりマシだわ。つーか、人の足跡見てつけてく索敵も大概だろが」
「そもそもは人間の追跡に使うスキルじゃないんだよ」
「二人とも〜、どっちでもいいけど、どっちも今回は役に立たなかったよ〜」
「「えっ」」
アスナの言葉に、男子2人が面食らったように自分の方を向くのをみて思わず吹き出しそうになりつつ、ユウキを示す。彼女は此方に気が付くと、ニカリと笑ってピースサインをして見せた。
「ブイッ!」
「……あー」
「……ま、まぁ、こういう場合、リアルラックも重要だし」
「あぁ、それな」
「二人とも、負け惜しみはカッコ悪いよ〜?」
「「ぐっ」」
アイリの一言で、完全に二人は沈黙した。
───
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