暁 〜小説投稿サイト〜
龍天使の羽撃き
01
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『わかったよ。ジンクスの彼の性格上引くことはしないだろうしね』

「ああ、それにプレイヤースキルってのはたかだかツールで覆せやしない」

『君が言うと含蓄があるねぇ…
最強最速の機体を唯一扱える君が言うと、ね…』

俺に、その称号は似合わない。

「チャンピオンも使えるはずだぜ」

『謙遜は時には失礼だよ。トランザムとNTDとナイトロと…あと心意だっけ?
その四つの合成速度に認識が追随できるのは君しかいないだろう?』

心意。

それはある意味でのバグでありチート。

ただし、誰でも使える。

このGBNにはイメージ操作系という物がある。

プレイヤーがコンソールやレバーを使って操作する『運動操作系』とは別に、サイコミュユニット用の『イメージ操作系』という物が。

でなければ、十数機のビットやファンネルを全て手動操作せねばならない。

そして、そのイメージ操作系は運動操作系よりも早くダメージや移動速度の計算を行い、世界を書き換える。

その理由は不明だ。

このヴァーチャルリアリティの世界はダイバーの脳を接続している。

人体で最もブラックボックスとなっている脳と深いつながりがあるのだ。

何が起こっても不思議ではない。

たかだか一高校生の俺には理解できない小難しい理屈があるのだろう。

ただ、一つ言える事はサイコミュ系ユニットを使えば使うほど、心意の適正や強度は向上する。

だから、言うなれば心意の使い手はこのGBNにおいてニュータイプやイノベイターと同等の存在と言えるだろう。

事実、数名のダイバーが気合いでビームを弾いているのが確認されている。

モニターを眺めていると、ドムタイプ二機が放ったビームバズーカを00系が紙一重で避けていた。

それはまるで熟練の玄人のような見事なMS捌きだった。

そしてブレイクデカール機のビームがもう一機のコックピットを捕らえ爆散、ポリゴンと化した。

「クリスハイト。あの00のパイロットは誰だ?」

『詳細は明かせないけど、ニュービーだよ』

「ニュービーであの動きを…?」

マスダイバーがオーガではなくニュービーに手を出したのだ。

俺が介入するに十分値する。

だが…

「静観を続ける」

『なんだって!?』

「あの00のパイロットが気になる。
もしや本物かもしれん」

『本物…つまりニュータイプかもしれないと?』

「あぁ、これはゲームであって遊びではない。
GBNのフルダイヴシステム開発者である茅場自身がいつも言っていただろ。
真剣なんだよ。だから、見てみたい」

『わかったわかった。責任は僕が取るよ』

やはり、持つべき物は融通の効く上司だな。

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