74部分:第十一話 おてふりその七
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てしまったことが原因だと余計にね。辛いのよ」
「そんなにですか」
「ええ、そうなの」
こう私に話してくれます。
「だから注意してね。優しさを忘れないで」
「はい」
何処かで聞いたことのある言葉ですがそれでも凄くいい言葉だと思います。やっぱり人って優しさを忘れたら駄目だと思います。けれど何か。
「それは先輩」
「何かしら」
妙に引っ掛かるものを感じたので先輩に問い掛けました。
「それは誰に対してもですよね」
「そうよ」
先輩はすぐに私に答えてくれました。
「誰でも。それはいいわね」
「誰でもですか」
「そりゃ最初見た時はとんでもないっていう人もいるわ」
これはわかります。
「それでもね。最初に見たり話したりして判断したら駄目よ」
「それだけではですか」
「それだけじゃ人間はわからないのよ」
何か凄く意味深い言葉になっていっているのがわかります。
「よく見ることも大事。そのうえで」
「誰にも優しく、ですか」
「ええ。それを絶対に忘れないで」
私に教え諭すように言ってくれます。
「何があってもね。私がちっちに言いたいのはそれよ」
「私に、ですか」
「ちっちなら大丈夫だと思うけれど」
やっとにこりと笑って私に言ってくれました。
「そこのところは」
「私はそんな」
何か言われて恥ずかしくなってきました。
「別にそんな。偉い人でも何でもないですし」
「偉くなくてもいいのよ」
また先輩に言われました。
「人にとって大切なのは一つだから」
「それが優しさ、ですか」
「それよ、それを忘れないでね」
「はい」
先輩の言葉にこくりと頷きます。何かおてふりでも優しい人は奇麗なおてふりをするって言われています。それだけは忘れないでいたいと思うのでした。
第十一話 完
2007・12・23
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