ペルソナ3
2017話
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る。
そうして放たれる突きは、模擬戦を繰り返してきただけあって、十分な鋭さを持っていた。
惜しむらくは、まだ天田が小学生で身体が小柄な為、鋭さはあっても重さはない事か。
一応技術としてより重い一撃を放つというものはあるのだが、当然のように今の天田にそれを求める事は出来ない。
この辺りは、成長していけば後々解決していくだろう。
そんな天田の一撃を回避し、弾き、受け流しながら十分程……やがて天田の体力の限界が来て、その動きは止まる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
再び天田は地面に寝転がり、限界まで使った体力を少しでも回復させようとしていた。
「わふぅ?」
そんな天田を、コロマルは心配そうに眺めていた。
コロマルにしてみれば、子供の天田がここまで体力を消耗しているのが心配なのだろう。
コロマルの頭を撫でながら、問題ないと告げる。
事実、俺から天田に攻撃するような事はしていない以上、天田は体力切れの状態でしかない。
暫くの間こうしていれば、やがて体力も回復して元に戻るだろう。
「……アルマーさん、ちょっと聞きたいんですが……」
そうして数分が経過し、体力が回復してきたところで天田が口を開く。
「何をだ?」
「最高の復讐って……どういうものだと思います?」
「……また、随分と物騒な話題だな」
「いえ、ちょっと読んでいた漫画でそういうのがあったので、気になったんです」
漫画、ね。
恐らく……いや、ほぼ確実に、天田が言っている復讐というのは、漫画でなく自分自身の事だろう。
荒垣のペルソナ、カストールが暴走した事によって母親が死んでしまったという事件。
だが、天田の様子を見ている限り……そして他の面々から話を聞いている限り、天田は自分と母親を襲ったのはシャドウだと認識している可能性が高い。
……まぁ、シャドウの中にはカストールに似た形の奴もいるし、それもしょうがないのかもしれないが。
「そうだな、復讐……復讐か。俺も今まで色々と戦場を渡ってきたが、そんな中でも復讐を糧にしてる奴ってのは結構いたな」
「……そうなんですか?」
「ああ。考えてみれば当然なんだが、戦場では殺し殺されというのは当たり前だ。そうなれば、当然のように仲間、友人、家族、恋人……そういう相手が殺されるという事も珍しくはないからな」
「……そうなんだ」
何故か感心したように呟く天田だったが、俺は話を元に戻す。
「そうそう、復讐だったな。一般的には相手を殺す……ってところだが、実際には殺される事で救われるという事も多いってのは言っておく」
「……え?」
それは、完全に天田にとって予想外の言葉だったのだろう。
唖然とした表情のまま、俺の方に視線を向けてくる。
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