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いたくないっ!
第八章 魔法女子ほのか (Bパート)
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に硬そうだ。

 古代日本風の現代アレンジというべきか、中世ヨーロッパファンタジー風というべきか、いずれにせよ見る者に幻想感を与える服装であった。
 コルセットでもしているかのように細く硬そうな上半身に比べ、膝上丈のスカートはふんわり柔らかそう。
 いつの間にか手足には、赤いグローブに、ブーツ。

 もともとが赤毛髪質の彼女であるが、それがさらに燃えるような色へと変わっていた。


『これが魔道着によって真の能力が開放された、ほのかのバトルフォームである』


 変身を終えたほのかは、常人には信じられない跳躍力を発揮し、目の前の建物を軽々と飛び越えて、マーカイ獣の前にすたっと着地。
 軽く屈んだ姿勢から、ゆっくりと立ち上がった。

「魔法女子……」

 と、牙をむき出しぐるると唸るマーカイ獣を、ほのかは顔を上げて、毅然とした顔で睨みつけると、口を開いた。

「紅蓮の炎、世界にあり! 我、魔法女子ほのかが、炎を己が刃とし、蒙昧にゃる、間違った、蒙昧なる、ああ悪、悪の、し、しし、使徒どども、じゃなくて、どど、どぼのっ」

 上手くいわねば格好がつかない、と焦りが焦りを呼ぶ悪循環の、最低な口上であった。

「噛みまくるくらいなら、黙ってろよ!」

 口上はお約束か、とおとなしく聞いていたマーカイ獣も、さすがに忍耐の限界に達してしまったようで、イラつき隠さず牙をむき出し怒鳴った。

「きき、昨日は練習でちゃんといえたもん!」

 ほのかは恥ずかしさをごまかすように、声をひっくり返して叫んだ。

「変身してもバカはバカ、って噂は本当だったんだな」

 マーカイ獣ヴェルフは、肩をすくめ苦笑した。見下しているどころか、哀れみすら浮かんでいる表情であった。

「ほのかーっ!」

 怒鳴り声を張り上げたのは、ニャーケトルである。ふわふわと、ほのかの眼前へと迫り、ぽかんと頭を殴り付けた、

「アホな噂を立てられてんじゃねえよ! 舐められっだろがあ!」
「バカっていう方がバカなんですう!」
「てめえを見てりゃあ誰だっていうぜえ!」
「こ、これから戦いだというのに、そんな人の気持ちを盛り下げることいって、なにかいいことあるんですかああ!」
「うるせえな、いちいち涙目になってねえで、とっとと狼野郎を倒せよ!」
「いわれなくても……あれ? いないっ!」

 きょろきょろ周囲を見回すが、マーカイ獣の姿が見えず。
 風を切る音に、ふと見上げると、

「死ねえ!」

 マーカイ獣が、ほのかへと落ちてきた。
 丸太のような太い腕をぶんと振って、ほのかの顔へと、鋭い爪を打ち下ろした。

     17
 まるでパワーショベルで掘ったかのように、大きく深く、えぐられていた。

 地面が
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