第八章 魔法女子ほのか (Bパート)
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ので、仕方ないところか。
ほのかの脳裏に、悟と、香織の姿が浮かんだ。
恥ずかしそうに赤らんでいたほのかの顔が、変化していた。
真面目な、凛とした表情へ。
「絶対に……守ります、生命、戻します、笑顔」
右の手のひらを、そっと自分の胸に当てる。
ふわり柔らかな光が右腕を包んだかと思うと、その右腕に、赤を貴重とした石のような金属のような、不思議な器具が装着されていた。
異世界古代の腕時計「アヴィルム」である。
前へと突き出すと、添える左手でアヴィルムの表示盤側面にあるボタンを押した。
ほのかの両腕に、真っ赤な炎が突如現れて二匹の龍のようにからみついた。
そっと目を閉じ、そして、唱える。
「トルティーグ、ティ、ローグ。
二つの世界を統べる者。
炎の王よ。
汝、きたりていにしえよりの契約を果たせ。
その名、ザラムンドル!」
まばゆい輝きに全身を包まれながら、ほのかは両腕を振り上げた。
16
ハープと、太鼓。
神秘的幻想的、かつ、力強い躍動感、音色。
学校の制服姿のほのかが、毅然とした表情で、立っている。
背後には、激しく燃える無数の炎が、うねりうねって渦をなしている。
まるで、炎の龍のようである。
その、炎の龍が、もたげた鎌首を振り下ろす蛇のように、次々と、ほのかへとシャンと伸びて、身体に撫でまとわりついていく。
全身から、足元のアップへと映像が切り替わる。視点が、ぐるぐる回りながら、上へ上へと、ほのかの姿を映し出していく。
ごう、と炎が腕を撫でると、制服の袖がなくなって、肩から伸びる細い腕が、根から先端まであらわになった。
ごう、と炎が身体を包み回るように上ると、靴、靴下、スカート、ブラウスが燃え、パチリはぜたその瞬間に空気の中に溶け消えた。
白い下着だけの姿になったほのかへと、頭上から迫る二匹の炎の龍がぐんと伸びて交差した。
下着さえも燃え溶けて、生まれたままの姿になったほのかの背後で、うねる炎の渦が大爆発、爆音とともに四方八方に飛び散った。
四散した炎がすべて、吸い付くようにほのかの肉体へとまとわりついた。
身体に、
腕に、
足に。
めらめら燃える炎に全身を包まれているというのに、ほのかの顔は涼しげで苦痛の色は微塵もない。
炎の中で、ほのかはすうっと右腕を、そして左腕を軽く振るった。
まとわりついていた炎が散って消えると、ほのかの腕は、白を基調に赤や薄桃色で装飾された布地に包まれていた。
続いて、今度は身体を覆う炎が、弾けるようにすべて吹き飛んだ。
胴体部分も腕と同じような色合いであるが、質感が違う。鎧の役割を果たしているのか、皮のよう
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