第八章 魔法女子ほのか (Bパート)
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睨みつけ、口を開いた。
「へ、へ、平和な、まちっ、をみだ乱す者、例え天が、たたっ例え地が、にゅるそうとも、この私が許しませんっ!」
つっかえつっかえ、最後など怯えきった金切り声であった。
「なんか凄まじくダッせえ口上だけど、まあいいだろ。よおし、ほんじゃあ行くぜほのかっ、変身だあっ!!」
「いやあ、それはちょっとお……」
頭を掻きながら、えへへと笑うほのか。
ニャーケトルは宙からひゅんと逆さに墜落し、地面に顔面強打した。
猫型妖精は、よろよろ上体を起こしながら怒りの形相で、
「じゃあなんでここにきたああ? てめえ変身しないと小学生より弱えじゃねえかよ!」
「だって、だって」
「なあにが、この私が許しませんだよ」
「いえ、あの、許さないという気持ちは本当なんですがあ、変身もしたくないというか……。そんなことよりも、小学生より弱いというのは、いい過ぎだと思いますう」
「弱えじゃねえかよ、実際! 泣かされてたじゃねえかよ! つうか、そんなことより、って、そっちの方が大事だろうがよ!」
二人のやりとりを黙って見ていたコスゾーノであったが、
「遊んでやれ、マーカイ獣ヴェルフ」
飽きたということか、そういい残すと突然巻き起こった黒い旋風の中に自らを消し去った。
「仰せの、ままにっ!」
マーカイ獣ヴェルフが、邪悪な目を光らせた。
次の瞬間には、目にも止まらぬ速さでほのかへと飛び掛かっていた。
だが、ヴェルフの恐ろしい爪は、空気を切り裂いただけであった。
ほのかが横っ飛びで転がって、紙一重でかわしたのだ。
ニヤリ、マーカイ獣ヴェルフは、口の両端を釣り上げた。お楽しみはこれから、といったような表情であった。
その邪悪な顔が、驚きと怒りに歪んだ。
先ほど地上に墜落していたニャーケトルが、土を蹴り上げて目潰しを見舞ったのだ。
その隙に、ほのかとニャーケトルは逃げ出していた。
公衆トイレの裏側。
木々の枝葉が鬱蒼と覆うところに隠れると、きょろきょろと、ほのかは辺りを確認する。
マーカイ獣よりも、別のことを気にしているように見える。
「ここなら、……変身、出来るかな」
ぽ、と顔を赤らめた。
と、ここでいきなりナレーションの声が入る。
『なぜ隠れる必要があるのか。
説明しよう。
魔法女子へと変身する際、ほのかの衣服は全部溶け、魔道着へと分子レベルで再構成される。
早い話が、一瞬だが全裸になる。
ほのかは、それが恥ずかしいのである』
「誰だって恥ずかしいです!」
ナレーションに突っ込みを入れるほのか。
まあ、変身は一瞬であるとはいえ、スロー再生で三十秒ほども尺がある
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