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駄目親父としっかり娘の珍道中
第84話 何時の時代も上司には苦労させられる その2
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ら、ため息をついた。
 なのはの内面を一から口伝えでシュテルに教えるにしてもそれはそれで面倒だし難しい。
 何しろシュテルはまだ生まれたばかり。なのは以上に一般常識は欠落しているかも知れない。
 まるで言葉を覚えたての赤ん坊に早口言葉を教えるような荒業だ。
 まぁ、幸いなのはこのシュテルは結構高い知能を持っているみたいだし、後はその知識の中に世間の常識やなのはの内面とかを叩きこんでいけばまぁ何とななるだろう。

「さぁ、それよりもお父様。お粥が冷めてしまいますよ」
「あ・・・あぁ・・・」

 なのは(シュテル)に言われて、銀時は改めて自分の手の中にある七色粥を眺めた。
 お椀の中では絶えず七色に変色を続ける不気味な粥らしき物体が盛られている。
 正直、こんなの食べて俺の体は大丈夫なのだろうかと、疑念すら抱いてしまう。
 最悪胃袋が化学反応を起こしてなんやかんやで大爆発を起こさないか不安で仕方がない気がする。
 だが、食べねばならない。これもシュテルを教育する為なのだから。
 意を決し、銀時は七色粥を一口口の中へと運んだ。
 最初に口内を駆け巡ったのはとてつもない苦さだった。
 例えるならゴーヤの200倍はするだろう苦みが口全体を覆いつくし、それに続いて今度はメキシコ産唐辛子を軽く凌駕するであろう辛みが襲い、今度はレモンや梅干しなどが甘く感じる程の酸味。
 まるで胃酸に匹敵するかの様な酸味が襲い掛かり、生魚が入っていないにも関わらず何故か生臭い味がその後に続き、海水の如き塩辛さが舌を痺れさせ、油くどい味で口中が粘着きまくり、最後に口の中を支配したのはただひたすらに不味いと言う感覚しか残らなかった。
 
「おヴぇぇぇえええええええええええ―――――!!!!!」

 それらの味覚が導き出した結果は、食べたお粥ごと中身を全てリバースすると言う惨事だった。

「どうですか? 結構美味しく出来たと思うのですが?」
「て、てめぇは・・・今俺がリバースしてるのを見てそんな事聞けるのか?」
「おかしいですね。栄養配分的には全く問題はない筈なのですが。先ほど味見をしたのですが特に問題はなかった筈ですのに・・・・これは再度レシピを練り直しておくとしましょうかね」
「た、頼むからよぉ・・・次に作るときはもっとマシな味にしてくれよな・・・・・・うっぷ!!」

 頭の隅に残ってるあの味を思い出した途端また吐き気がしてきた。さっきの一口の味の中にお粥の甘みや旨味などは一切感じられなかった。
 それらの薄めで優しい味を全て付け加えられた七色ヘルソースが上書きしてかき消してしまっているのだろう。
 この、ただひたすらに苦くて辛くて酸っぱくて生臭くて塩辛くて油くどくて不味い・・・正直こんなソースを他の人間がまともに食べれるとは到底思え
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