暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
「つまり、閃光師匠」
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中を飛ぶことはできない。そういうこともあって飛行するような用事がある時は、たいていショウキが担いで飛んでいるのだが、どこで覚えてきたのか最近はこんな言葉を口走る。アスナから感じる冷たい視線を気のせいだと言い聞かせながら、ショウキはプレミアを抱っこするようにして飛翔する。

「むふー」

「……それでアスナ、どこに行くんだ?」

「うん。せっかくだからピクニックも兼ねて、私もよく知ってる場所」

 腕の中にいるプレミアの満足げな吐息を聞きながら。ここ、アインクラッド第三層は一面が森に覆われているフロアであり、隣を飛ぶアスナからは「歩いて回った時は苦労したなぁ……」と懐かしむ声が聞こえてくる。しかも森の中はいわゆる《迷いの森》となっており、地図なしで挑むのは無謀とも言える……今回は森やフロアの攻略ではなく、ただのピクニックなので問題はないが。

「降りるよー」

「ありがとうございます。ショウキ」

「ふぅ……ああいや大丈夫だ」

 そうしてアスナからの指示を受けて降りた場所は、森林浴にでも最適な穏やかな森林地帯。明らかに強敵などいないと言わんばかりであり、ショウキも念のためにぐるりと辺りを見渡してから、地面にプレミアを下ろして一息つく。そうしてプレミアをアスナに任せて、ショウキはとりあえず近場にあった木の上に飛び乗った。

「ママ、この辺りに強敵の反応はありません」

「ありがとう、ユイちゃん。さてプレミアちゃん、準備はいいかな?」

「はい。師匠」

「……まあ、いいかな。ショウキくーん!」

 閃光師匠、よりはマシらしい。苦笑しながらも受け入れたアスナの問いかけに、愚問とばかりに細剣を振り回しやる気を示すプレミアを見て、アスナはショウキに合図を出す。それを受けてショウキも、狙いをつけていた猪タイプのモンスターへクナイを投げつけてヘイトを取ると、猪タイプは一目散にこっちへ駆けてくる。ただし木の上にいたショウキを見ることが出来なかったのか、開けた場所にいたアスナたちにだったが。

「聞いた話だと、プレミアちゃんならあのモンスターぐらいは平気で倒せます。攻撃の避け方はこっちが指示するから、試しに戦ってみてください」

「はい」

 ……アスナもアスナで、速くも師匠モードに入っていることには触れないでやるとして。プレミアはリズが作った細剣を抜き放つと、先程までのやる気アピールでぶんぶんと振り回していた時とは随分と違った、しっかりと相手を突き刺さんとする構え方を見せて。突進してくる猪を相手に、プレミアは全く引くことはなく。

「来ます!」

 そしてハラハラと心配するユイの声が響き渡り――


「……ねぇショウキくん。私、もう教えることないんだけど」

「いや……ああ、なんというか」

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