「つまり、閃光師匠」
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り芳しくない。
「やっぱり最初の加工法が一番じゃないか? 実際、成功したわけだし」
「うーん……大丈夫? 結構、あんたには難しいわよ?」
「やってやるさ」
「へぇ……言うようになったじゃないの」
微妙な出来とはいえ完成した細剣をストレージに入れつつ、リズの悪戯めいた笑みを受け止めながら、ショウキは試行錯誤していた跡を片付けていく。最も上手くいった方法の短所としては、作り手への鍛冶スキルの依存度と、コスト……値段が高くなってしまうこと。リズならば経験から何でもないことだが、今のショウキの錬度では少しばかりものたりない。
「まあでも、無理しないでいいのよ? 今みたいにサポートに回ってくれれば充分だし」
「そうだな……なら俺は、どうにかコストを安くする方法を考えてみる」
「うん! ……ところで、ショウキ。最近どう? ゲームは楽しい?」
「もちろん」
悪戯めいた顔から商売人の顔へ、商売人の顔から心配そうな顔へ、心配そうな顔から向日葵のような笑顔へ。ころころと変わるリズの表情に、ショウキも満足げに微笑んで。ゲームは楽しいなどと聞かれずとも、こういった瞬間が最も楽しい――と、ちょっと我ながらキザなことまで思っていたショウキとは反して、リズの表情が今度は不満げなものに変わっていて。
「……こうしてリズと、あーでもない、こーでもないって言ってるのが一番に楽しい」
「よろしい」
むふー、と満足げに鼻を鳴らすリズへと、ショウキはすっかり癖となってしまったクシャクシャと髪を掻く動作をしつつ目を背けて。どうせ先程の照れくさい言葉を言い放たなければ、思ってることを口にも出さないから根暗なのだと、口をすっぱくして言われていただろう。
「ショーウキ!」
「おわっ!?」
とはいえそんな風に思われっぱなしも癪だと、何か言い返してやろうと思考を巡らせるショウキだったが、その思考がまとまる前に背後からリズに抱きつかれて失敗する。背中に感じる弾力のある感触を存分に味わいながらも、平常心平常心平常心だと自らに言い聞かせつつ、ショウキは咳払いしながらリズに問いかける。
「……どうした」
「別に。久々に二人きりだから、ちょっとショウキ成分の補充よ」
「……あんまり有益そうじゃない成分だ。それで?」
ショウキ成分というものの正体はともかく。今は新商品の開発という名目で店を閉めていて、かつ最近はよく一緒にいる同居人兼アルバイトも出掛けているため、久々に二人きりだというのも正しくて。ついでにこうしてリズが甘えてくるというのも珍しい話で、こういう時はちょっとした話がある時だと先を促すと。
「……楽しいって思ってくれて、ありがたいわ。勝手に新しい店にしたら閑古鳥が鳴いたり、二人の
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