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おぢばにおかえり
7部分:第二話 神殿その四
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「あっ、僕のはいいよ」
 何故か謙遜してきました。
「その分のお金はあるしさ」
「さっきと言ってること逆じゃない」
 どうしたんでしょう、一体。
「どうしたのよ」
「いやさ、やっぱりさ」
 何か私から視線を逸らして話をします。さっきの私の顔と似た感じになっているのは気のせいでしょうか。
「こういうのは。あれだよ」
「あれ?」
「自分の分は自分で出さないと。女の子にはね」
「そうなの」
「そうだよ。それに」
 私から視線を逸らしながら言葉を続けます。
「先輩はさ。やっぱり」
「やっぱり?」
「その。つまりさ」
 言葉が詰まってきました。何が言いたいんでしょう。
「あれだし。その」
「言ってる意味がわからないんだけれど」
 怪訝な顔をして彼に言いました。
「何が言いたいのよ」
「あっ、何でもないよ」
 急に誤魔化してきました。かなり変な感じです。
「何でもないから。とにかくソフト買おう」
「ええ」 
 よくわからないまま彼の言葉に頷きます。それでソフトを子供達の分まで買ってあげました。
「はい」
 子供達にソフトを渡して食べながら商店街を進みます。その途中でまた新一君が私に話し掛けてきました。
「じゃあ今日はこれで」
「帰るの」
「うん、また明日ね」
「来なくてもいいから」
 すぐにそう言い返してあげました。
「忙しいと邪魔だし」
「そんな冷たいこと言うんだ」
「当たり前でしょ」
 この言葉も口癖になってきました。困ったことです。
「そもそも詰所にはいないんだし」
「時々泊まってるじゃない」
「押し掛けてね」
 本当に時々詰所に泊まるんです。もう自分の洗面用具とか置いてるそうです。部屋も半分自分の部屋まであるし。図々しいとしか言うしかありません。
「主任先生達の好意に甘えないの」
「じゃあ先輩と一緒の部屋は?」
「怒るわよ」
 はったおすわよ、と言いそうになりましたがそれは止めました。立腹を覚えましたけれど何とかあと一歩のところで踏み止まりました。


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