67部分:第十話 登校その八
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第十話 登校その八
「悪いことじゃないわよ」
「そうよね」
「それでさ、次の英語のグラマーだけれど」
「どうしたの?」
話は今度は英語に向かいました。
「わからないところあるのよね」
「何処なの?」
「ええとね」
鞄の中から教科書を出してきました。そうしてそのページを開いて。
「ここの単語。どういう意味かしら」
「ああ、そこはね」
そのページを見て答えます。
「こういう意味になるのよ」
「そうだったんだ」
「そうなの。私も最初全然わからなかったのよ」
天理高校は英語には五月蝿いです、あと国語。大学は語学がかなり充実しています。世界に布教するのがその目的だからです。
「どうやって訳すのかね」
「そうよね。全然意味が通らないっていうか」
彼女も困った顔で言います。
「ここだけどうしてもわからなかったのよ」
「そこだけ?」
「ええ、そこだけ」
それを聞いて少し驚きました。私はこの章は全然わからなかったからです。それでここだけなんて。正直凄いことだと思いました。
「わからなかったんだけれど」
「そうだったの」
「何か驚いてるの?」
「え、ええ」
その問いに答えます。
「そうよ。私全然わからなかったし」
「全部!?」
「全部じゃないけれどかなり」
彼女にもそれを言います。
「わからなかったわよ」
「そうだったの。ちっちって英語の点数もいいのに」
「それでもよ」
私はここでも彼女に答えました。
「ここかなり難しいから」
「そう?私はその一つの部分だけだったけれど」
彼女は首を傾げて言ってきました。
「他は全然普通にいけたわ」
「そうだったの」
「ちっちが難しく考え過ぎなんじゃないかしら」
それで今度はこう言われました。
「ただ単に」
「そうかしら」
「そうよ。真面目なのもいいけれどね」
くすりと笑っての言葉です。
「たまには簡単に考えるのもいいわよ。そうすれば答えが出るから」
「簡単になのね」
「そう、力を抜いて」
いつも固く考え過ぎだって言われますけれど。先輩達にも。
「柔らかく考えていけばいいのよ」
「努力しているつもりだけれど」
「まだまだ」
そうらしいです。
「全然よ。そんなのだから彼氏もできないのよ」
「だから何でそっちに話がいくのよ」
私は彼女に抗議しました。
「全然違うじゃない」
「そういうのが駄目なのよ」
「駄目って?」
「すぐにあれが違うこれが違うって言い出すでしょ、ちっちは」
何かそれが駄目らしいです、私の場合は。
「そうじゃなくてね、穏やかに受け止めたり」
「するのがいいっていうの?」
「そういうこと。わかったかしら」
「ううん」
その言葉には首を捻ります。
「そうなのね
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