第5章:幽世と魔導師
閑話13「緋き軌跡」
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は?』」
『他の皆は京都の大門から溢れ出る妖を食い止めてるよ。それ以外の地域にも戦力を割いて、現地の陰陽師や警察とかと一緒に安全を保っているよ』
「『……分かりました。それだけ分かれば十分です』」
被害などは聞いている暇はない。
どの道、これほどの規模なら被害なしはありえないだろう。
「『では、私は止めに向かいます』」
『……無理しないでね』
その言葉に頷いて、私は通信を切る。
同時にスピードを上げ、現場へと急行する。
「邪、魔ぁっ!」
魔力のナイフを生成し、一気に投げる。
それらが向かう先は、進路上に立ち塞がる妖達。
一体一体は大した強さじゃないけど、急いでいる身としては非常に邪魔だ。
「ふっ!」
大剣を生成して一閃。一気に薙ぎ払う。
同時に、思いっきり地面に踏み込む。
ドンッ!!
「そー、れぇっ!!」
一気に加速、そして拳を振りかぶる。
魔力で体を強化して、一つの弾丸として一直線に進む。
幸い、今進んでいるのは人気のない山中。
一般人とかと鉢合わせする事はないだろう。
「(……まずいね)」
エイミィさんの言った通り、京都に溢れ出ている妖は大丈夫だろう。
適当な妖が現れた所で、戦力を集中させておけば押さえていられる。
でも、問題はそれ以外だ。
「(東の方……これは司さんの魔力かな?)」
エイミィさんの説明を私がもう十分だと止めたから聞いていなかったけど、東京方面から感じられる魔力は明らかに司さんのものだ。
結界で隔離しているとはいえ、膨大な魔力なためここまで感知できる。
……明らかに、人一人が出せる魔力じゃない。
「(司さんがどういう状況なのかも気になるけど、その相手もなかなかだよね)」
これほどの魔力であれば、それこそ龍神やさっきのアラハバキが相手でも難なく倒せるだろう。でも、この魔力は私が現世に来た時から感じられた。
つまり、これだけ戦いが長引く程の相手がいるという事。
「(……とこよさんが言っていた、学園裏に封印されてた龍かな?)」
聞いた事があるのだけど、その龍は途轍もない強さだったらしい。
私でも苦戦する程の相手とか言われた気がする。
「(いや、そっちを気にしてる場合じゃない……!)」
状況が動いた。……動いてしまった。
さっきまで感じられた神の力が、感じられなくなった。
……結界によって遮断されたのだろう。
「(元より、“神”の類はとこよさんが相手だと相性が悪い!それなのに、さらにその力が削がれたら、さすがのお兄ちゃんでも……!)」
とこよさんは神格を持つ妖を何体も倒した事がある。
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