第5章:幽世と魔導師
閑話13「緋き軌跡」
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……うん。ちゃんと座標が分かってるね。じゃあ……。
「封印……っと」
転移魔法を発動。祠へ移動し、即座に用意していた封印術を発動。
祠を封印し、もう一度転移魔法で学校へと戻る。
「………」
なぜ学校に戻ったのかと言うと、私に対する恐れを抱いた目が気になったから。
その理由はある程度予想している。それを確かめるためでもあるね。
「……ふぅ」
まずは大剣を消し、身に纏っている霊力と魔力も解く。
これで私は完全に無防備な状態。敵意がないと示す。
「(……ま、これで簡単に近づいてきたらダメなんだけどさ)」
当然だけど、その程度じゃ誰も出てこない。
と言うか、ここを守っていた司さん辺りが出ないように言っていたのだろう。
「(誰か知っている人……)」
ただの友達や知り合いではダメだ。
ある程度、説明を受けている人でないと話が通じにくいはず。
でも、そんな人なんて……。
「(……いた)」
一人だけ……いや、何人かいた。
私がそれなりに知っている人で、尚且つこちらを恐れていない人。
他にも同じような人がいたけど、一番はその人だった。
「(確か、お兄ちゃんの友達で……)」
地面を蹴り、ふわりとその人の前……の窓近くまで行く。
周囲から少しばかり小さい悲鳴が聞こえたけど、この際は無視する。
「大宮さん……でしたっけ?」
「あ、ああ……」
「さ、聡……!?」
名前を確かめようと尋ねると、普通に答えてくれた。
その事に、隣の女生徒(見覚えがある)が驚いていた。
まぁ、普通は普通に応対できる訳ないよね。
「……一つ、確かめておきたい事が。……以前に、私の姿をした存在がここに来ましたよね?それも、襲う形で」
「っ……ああそうだ……」
「(やっぱり……)」
予想通りだった。
私は幽世の大門が開いた影響で、妖となっていた。
咄嗟に式神を作り、そっちに自我を追いやったおかげで、どうにかなったけど……。
妖となった部分は、門の守護者にでもなっていたのだろう。
そして、ここを襲った。それなら、生徒の人達が恐れるのも分かる。
私が現世に来れるようになったのは、その妖が倒されたからだから、もう脅威はないのだけど……そこは人間の心理。しょうがないね。
「……なぁ、もしかして……」
「何を考えているのかは大体わかるけど、説明している暇はないです。私も急いでいるので」
大宮さんの問いを遮る。
大方、私が本物なのか聞こうとしたのだろう。
でも、説明している暇はないので、それを遮った。
「……でもまぁ、答えるとしたら。“その通りです”とだけ。では
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