第5章:幽世と魔導師
閑話13「緋き軌跡」
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は私の所へ向かっている。
「(幽世から出た私を戻すための抑止力って所かな。門から離れるなんて)」
現世にいられる時間が限られている。
しかもそれは、無理矢理現世に身を押さえつけてでの話だ。
現世と幽世の均衡を保つため、私を幽世に連れ戻される“力”が働く。
それが、あの門の守護者なのだろう。
「私が出したのだから、責任は取らないとね」
地面が割れないように、魔法陣を足場に私は跳ぶ。
かつて現世で生きていた時よりも速く、結界が張られている場所へと向かった。
「ここは……学校?」
結界が張られているのは、私も見た事のある学校だった。
入学する事は叶わなかったけど、予定では私もここに進学するはずだった。
「……っと、それどころじゃないね。術者は……いない?放置されてる?」
いるはずの術者、もしくは結界を維持する供給源がなかった。
いや、供給源自体はある。それは大気中の魔力や、地脈の霊力による代用だ。
……でも、どうして放置を?
「っ、来た……!」
結界があるのは、一般人が避難しているのを保護するためだろう。
だとすれば、術者は元凶を潰しに行ってるのかな?
……なんて考えている内に、門の守護者がやってきた。
何とか私は学校を守る場所に割り込む事が出来た。
でも、結界がなかったら被害を出してしまうね。
「あれは……!」
現れた妖は、青い巨躯に焔のような霊力が所々から噴き出している。
赤い角が額から一本生え、鋭い黄金の牙が口から見え隠れしている。
その妖の名は“アラハバキ”。
諸説あり、明確な正体は分からない神だ。
今回現れたのは、そんな神を模した力の一部の集合体って所かな。
「聞いてはいたけど、実際に戦う事になるなんて……ねっ!!」
ドンッ!!
アラハバキは、私を認識した瞬間跳躍し、殴り掛かってきた。
それに対して私も対抗するように拳を振りかぶり、ぶつける。
その一撃で衝撃波が迸り、校舎に避難している人達がこちらを見てくる。
「(あ……)」
……ふと、そこで何人かの生徒が目に入った。
その人達は、生前私のクラスメイトだった人達。
特別仲良くしていた訳じゃないけど、記憶に残る程度には交流を持っていた。
そんな人達が、こちらを見ていた。
「っ……ぁあっ!!」
―――“轟”
魔力で身体強化を施し、再度振るわれた拳を相殺する。
アラハバキの放つその一撃は、私の力を互角……いや、この一撃に関してはそれ以上とも言える威力だった。
「っ、たぁっ!!」
でも、そんな一撃を真正面から受ける必要はない。
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