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翠碧色の虹
第二十三幕:光りなくとも輝く虹
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てゆく。その持ち主である七夏ちゃんには、やっぱり本当の虹を届けてあげたいと思う。それが、今回の撮影旅行の一番の目的になっている事に間違いは無いだろう。凪咲さんへのアルバム作りと並走しながらアルバム制作を進めてゆきたい。
今日、撮影した七夏ちゃんの写真は笑顔だ。この笑顔が本当に写真であってほしい。いつか「ふたつの虹」が写真となるように、俺がするべき事は・・・。
明後日は七夏ちゃんのお父さんが運転士となって、蒸気機関車を運転するイベントがある。一応、当日の予定とか段取りを凪咲さんに聞いておくほうがいいだろう。現地の場所は地図で確認している。列車で一駅の場所だ。この街の事はある程度分かってきたけど、旅費の節約もあってあまり遠出はしていない。現状、凪咲さんのご好意に甘えており、七夏ちゃんの写真をたくさん撮るという目的があるから、俺単独での行動はなるべく節約しなければならない。地図でしか場所を確認しなかったのも、そのような理由があるからだ。

時崎「蒸気機関車・・・か」

俺は、それほど鉄道には詳しくは無いけど、蒸気機関車は分かる。イメージとしては黒くて複雑な形・・・煙突があって煙を出しながら走る、今の列車から見ると異型な姿だ。以前に、七夏ちゃんと一緒に楽しんだ鉄道模型の蒸気機関車を見ていたので、そのイメージなら、はっきりと出来ている。模型の蒸気機関車は電気で走るので煙は出なかったけど、小さいながらも、なかなかの迫力があった。あの時、七夏ちゃんが手を添えてくれた事が蒸気機関車の模型と強く結びついてしまっている。またあの時の感覚を楽しめたらいいなと思うのは、よくばりな事なのだろうか?
七夏ちゃんが、お父さんの蒸気機関車の模型を誤って壊してしまったお話があったな。俺は、壊れた物は直せる場合は直して使う考え方だったけど、直さないで思い出とする考え方もあるんだなと、あの時は思ったりした。
七夏ちゃんと出逢ってから本当に色々と、考え方が変わってきている。七夏ちゃんの瞳の色が変わるように、俺もまだまだ変わってゆくのだろうか。

時崎「・・・おやすみ。七夏ちゃん」

俺は、MyPadに写っている「昨日の七夏ちゃん」に挨拶をして、今日一日を閉じた。

第二十三幕 完

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次回予告

虹は半透明で輪郭もはっきりせず、ふわっとしている。俺はそんな虹をのんびりと眺めたいと思っていた。

次回、翠碧色の虹、第二十四幕

「のんびりさんの虹」

「ふたつの虹」を持つ七夏ちゃんは、虹以上にのんびりさんだと思っていたけど、それは俺の勝手な思い込みに過ぎないのかも知れない。

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