第二十三幕:光りなくとも輝く虹
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
七夏ちゃんが、こちらに駆け寄ってきた。その様子から、少し冷静になる。見知らぬ男の人も、こちらに声をかけてきた。
男性「すみません。彼女さんのお知り合いの方ですか?」
時崎「え!? あ、はい・・・一応」
男性「自転車のチェーンが外れてしまって・・・」
七夏「えっと、困ってたみたいで、私、なんとかならないかなって」
男の人が自転車のトラブルに見舞われ、困っている所に、七夏ちゃんが通りかかって声を掛けたらしい。それを聞いて、ようやく俺は本当の安心を実感した。凪咲さんにも七夏ちゃんの無事を連絡しておく。
時崎「七夏ちゃん、帰りが遅いから心配したよ」
七夏「えっと、ごめんなさい」
男性「引き止めてしまって、すみません」
時崎「あ、いえ。ちょっと自転車を見せてもらっていいですか?」
男性「はい。ありがとうございます」
時崎「七夏ちゃん、この辺りを照らしてくれるかな?」
七夏「はい」
七夏ちゃんの照らしてくれる小型の懐中電灯の灯りを頼りに、自転車のチェーンをかけなおす。
時崎「・・・よし! これで上手くかかったかな?」
ところが、少しペダルを回すと、再びチェーンが外れてしまった。
時崎「あっ!」
男性「やっぱり、だめか!」
七夏「すぐに外れてしまうみたいなのです」
時崎「これは、変速機の故障かな?」
今の様子から、リヤ側の変速機に不調があるように思えた。変速機をよく見ると、繋がっているワイヤーと固定ボルトの辺りに原因があるようだ。
時崎「ここのボルトを調整すれば、なんとかなるかな?」
七夏「え!?」
時崎「まず、変速機をトップにして・・・六角ボルトをしっかりと回せるもの・・・」
写真機のメンテナンス用に小道具を持っていたので、その中から小型のラジオペンチで固定用のボルトを一度緩めて、ワイヤーを引っ張る。
時崎「七夏ちゃん、この方向から照らしてくれるかな?」
七夏「はい!」
七夏ちゃんからの光に照らされたワイヤーをよく見ると、本来固定されていた所が潰れて平たくなっていたので、その場所が固定用ボルトの位置にくるように調整して、ボルトを固定しなおす。あとは、さっきみたいにチェーンを掛け直す。
時崎「これで、大丈夫かな・・・」
少しペダルを回してみる。
男性「おお、凄い! チェーンが勝手に外れなくなった!」
時崎「あ、いえ」
七夏「柚樹さん、凄いです! あんなに苦労したのに・・・」
時崎「ただ、応急処置ですので、自転車屋さんに調整をご依頼ください」
男性「ありがとうございます!」
時崎「あと、変速はしないでください。チェーンが外れてしまうかも知れませんので」
男性「はい。分かりました」
時崎「ちょっと上り坂は辛いかも知れませんけど」
男
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ