第2.5話 クルック―と謎の男
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
に取った。
沢山の人が集まった写真。2人の男を中心におき……、いや 1人の男が一番目立っていると言い直そう。そんな写真。とても古い写真。もう色褪せてきているのがよく判る。それでも思い出だけは色褪せない、と言う様にクルック―は微笑んだ。
「エールの冒険。この冒険の先に……この写真の様な光景がきっと待っています。私はとても楽しみにしています」
「………ふっ」
男は、そっと何かを手に持ち、クルック―を横切った。
「もう行くのですか?」
「ああ。……クルック―。エールに楽しめと伝えただろう?」
「はい。思う存分楽しんでほしいと。世界にはもっともっと楽しい事があるのだと」
「私もその最中だ。……今、初めてこの世界を。この物語を楽しもうと思う。……申し訳ない者達もいるが、今は判ってもらいたい。時が来れば……償いはする」
すっと、手に持ったそれを顔に装着。顔の上部半分が隠れるそれは、緑色のマスク。
「………ぷっ」
「……別に 笑う所ではないのだが」
「すみません。そればかりは いつ見ても慣れません」
「むぅ。……今結構辛辣な意見を述べられているが、私は気に入っている」
「はい。本人が良いのであれば、良いと思います」
「何だか少々引っかかるコメントだが、……まぁ 良い。我も…… いや 私も存分に楽しもう」
男は、家の扉を開いた。
風になびく漆黒のマント。そして 朱い帽子。凄く目立つ容姿。
だが、それに気にする様子は全く見せず、軈てピントがずれる様に その身体がボヤケ ゆっくりと消えていく。
「また、会えますか?」
「あぁ。勿論だ。……あまり長く同じ場所に留まっていると、(自称)この世界の覇王に居場所がバレてしまうかもしれんから 長居は出来んがな」
「ふふ。それはそうかもしれませんね。……では、また」
次の瞬間には 男の姿は完全に消え去っていた。
「ふふ。……あぁ、忘れてました。貴方に会った時聞こうと思っていた事を」
クルック―は にこっ と笑みの質を上げて呟く。
「今の名乗ってる その名は、誰が考えたのですか? と。……教えてくれるとは思いませんが」
彼を見送った後に クルック―も行動を開始する。
「さて、久しぶりに忙しくなりそうです」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ