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ランス 〜another story〜 IF
第2.5話 クルック―と謎の男
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に取った。
 沢山の人が集まった写真。2人の男を中心におき……、いや 1人の男が一番目立っていると言い直そう。そんな写真。とても古い写真。もう色褪せてきているのがよく判る。それでも思い出だけは色褪せない、と言う様にクルック―は微笑んだ。

「エールの冒険。この冒険の先に……この写真の様な光景がきっと待っています。私はとても楽しみにしています」
「………ふっ」

 男は、そっと何かを手に持ち、クルック―を横切った。

「もう行くのですか?」
「ああ。……クルック―。エールに楽しめと伝えただろう?」
「はい。思う存分楽しんでほしいと。世界にはもっともっと楽しい事があるのだと」
「私もその最中だ。……今、初めてこの世界を。この物語を楽しもうと思う。……申し訳ない者達もいるが、今は判ってもらいたい。時が来れば……償いはする」

 すっと、手に持ったそれを顔に装着。顔の上部半分が隠れるそれは、緑色のマスク。

「………ぷっ」
「……別に 笑う所ではないのだが」
「すみません。そればかりは いつ見ても慣れません」
「むぅ。……今結構辛辣な意見を述べられているが、私は気に入っている」
「はい。本人が良いのであれば、良いと思います」
「何だか少々引っかかるコメントだが、……まぁ 良い。()も…… いや 私も存分に楽しもう」

 男は、家の扉を開いた。
 風になびく漆黒のマント。そして 朱い帽子。凄く目立つ容姿。
 だが、それに気にする様子は全く見せず、軈てピントがずれる様に その身体がボヤケ ゆっくりと消えていく。

「また、会えますか?」
「あぁ。勿論だ。……あまり長く同じ場所に留まっていると、(自称)この世界の覇王に居場所がバレてしまうかもしれんから 長居は出来んがな」
「ふふ。それはそうかもしれませんね。……では、また」

 次の瞬間には 男の姿は完全に消え去っていた。
 
「ふふ。……あぁ、忘れてました。貴方に会った時聞こうと思っていた事を」

 クルック―は にこっ と笑みの質を上げて呟く。

「今の名乗ってる その名(・・・)は、誰が考えたのですか? と。……教えてくれるとは思いませんが」

 彼を見送った後に クルック―も行動を開始する。


「さて、久しぶりに忙しくなりそうです」

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