第2話 旅立ちの朝はあちこちが痛い
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が入ってる感じがするのでもう無理かもしれない、と悟った。
「さあ、エール」
母の真っ直ぐな瞳は、とても慈愛に満ちていた。今までのやり取りの中でも格段に。
「きっとこれから……厳しい事が沢山あると思います。ですが、冒険を何よりも楽しみなさい。積極的に行動して、色々なもの、色々な人、色々な事情、それらを見、貴方の力となさい。そうすると……世界はよりよく輝いて見えるものです」
母は遠くの空を眺めて、声を少しだけ大きくさせて続けた。
「これは今の母の実体験によるものなんです。この世界は……楽しい事、面白い人、そして母とユーリの関係の様に愛する人、そう言うもので満ちています。……まぁ 母とユーリの関係は少々他人とは違う所はありますが、そこはまだ早い、と言う事にしましょう」
母と父の関係が他人とは違う……と言うのはどういう事なのだろうか? とエールは不思議に思ったが、母はそれ以上言わなかった。
「……楽しんでらっしゃいエール。母はいつでも貴方を見守ってます。何があろうと母は貴方の味方です。判りましたか?」
「えーと。判ったよ! って言うと嘘になっちゃうかも……」
「ふふ。正直で宜しいです。ああ、それと実は貴方には魔王を倒すよりももっと大事な使命があるのです……が…………。おっと、すみません。これは貴方には秘密でした。まぁ 今は忘れて冒険を楽しんできなさい」
ちょっと聞き捨てならない言葉を訊いた。
だから、ちょっと遮ろうとしたのだが、強引に話す母。
「それと母へのお土産は考えなくて良いです。貴方が無事に帰ってくる事が母には何よりのお土産ですから。………あ、でも珍しい貝があったら持ってきてください」
「いやいや、貝は置いといて、何? 魔王より大切な使命って」
「……はい?」
「ええっ! 『……はい?』 じゃないよ、お母さんっ! さっき言ったよ?? 重要な使命って!」
「重要、ではなく大事、ですね。それは兎も角忘れてください、と言いましたので、母は忘れました」
「重要も大事も同じじゃん。それにどーして、お母さんが忘れるのさ! ボク、忘れてない!」
「えーい、もういいから行きなさーーい。べしーーんっ!」
「わぁっ」
最終的に、エールは母にお尻を蹴られる形で村から追い出されてしまった。
沢山の出来事に頭が痛み、更には母のキックは相応に痛いからお尻も痛い。色々と痛い旅立ちになってしまった。
これって村から追放されちゃったのかな……? とエール少し悲しくなってしまったのは別の話。村には門番がいる訳でもなく、『オマエは追放された身入る事出来ない!』と言われた訳でもなかったから。
でも……母の待つ家には当分入れそうにない、と直感した。
何故なら 母に見送られた
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