第2話 旅立ちの朝はあちこちが痛い
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か、と呆れるか怒るか慌てるか、と表情を上手くエールは作れなかった。
「なにか言いたげな顔ですね。質問があるなら伺いますよ」
「あ、あー…… 沢山、あるんだけど。どれから言えば良いか……」
「ほほぅ。時間が惜しいので1つだけ……といじわるは言いません。何でも聞きなさい」
ごくんっ、と息を飲み込んだ後にエールは続けた。
「じゃ、じゃあ。なんでボクが? 魔王をやっつける〜 なんて今時アニメでもなかなか取り上げないと思うんだけど……」
「ふむ。確かに使い古された演出、構成と言えばそうですね。ですが、これは現実です。しなければならない事なのです。それで、なぜエール、貴方なのかと言うと」
母は少しだけ間を置いた。
それは珍しい事だった。今までは どんな事もストレート。いきなりに言うのが母だったから。流石に今日の冒険へGO! 魔王をやっつけろ! は最大の衝撃だったが それでも直ぐに言ってきた。
なら、この次は何が飛び出すのか、とエールの頭の中に不安が過ぎる。
「今日の誕生日を迎えたら、ずっとは無そうと思っていた事があります。……今まで貴方には黙っていましたが、エール。なんと貴方は 世界を救った英雄の1人。ユーリ・ローランドの子供なのです。ばばーーん」
「………………え?」
「知らない訳ないでしょう? ユーリ・ローランドの名は今じゃどんな本にも出てくる超有名人で超強い英雄で伝説の剣士です。あなたはそのユーリの息子なのです」
聞こえなかった訳ではない。
あまりの事過ぎて、これもビックリ……どころか、もうパンクしかけてしまった。
でも思い当たる事はある。
自身のフルネームは、《エール・ローランド・モフス》だ。
英雄の名が入ってる〜と少し八百屋さんや花屋のオバさんに自慢した時期もあった。
でも、まさか本当に息子であるなどとは思わなかった。
「おやおや、衝撃の事実に言葉を失ってるようですね。英雄の血を継ぐ貴方であれば 魔王くらいイチコロです。……まぁ、イチコロで済むのなら 本当にうれしいですが 可能性は高いですね、と言う事です」
無茶な要求だ……と心で愚痴る。
確かに訓練をしてきたが、実戦は皆無だから。レベルは多少あってもそれだけで勝てる相手じゃないくらい判るから。
「なに、大丈夫ですよ。貴方1人にやらせるつもりはありません。そして 英雄の子は あなただけではないのです。そして もう1つビックリな事実がありますよ」
「……まだ?」
ふっ……と少し母の表情が動いた。
まだ何かあるのか、とそろそろ知恵熱が出そうになるのを我慢しつつ備えた。ヒーリングを掛けながら。
「魔王ランスの血を継ぐ子供もいるのです。ばばばーーん。魔王ランスが人間だった時
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