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夢幻水滸伝
第四十七話 越前にてその三
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「おいらは何でも知ってるさ」
「それでこっちの世界でもやね」
「相棒もおるし」
 尾崎の左肩のすぐ上に緑色のウミガメが出て来た、大きさは甲羅で一メートル程で人も乗れそうな大きさだ。一八〇ある尾崎にとっては難しそうだが。
「こいつな」
「浦島太郎の亀?」
「それなんだよ、もう漁業のことなら何でも知っていておいらに教えてくれるんだよ」
 その漁業のことをというのだ。
「おいらの大事な神具さ」
「浦島太郎やね」
「ははは、海の底にも行けるぜ」
「竜宮城にもかいな」
「この辺りにはないけれどな」 
 竜宮城はというのだ。
「けれど海には乙姫さんもいるしな」
「こっちの世界ではな」
「乙姫さんにも会いたいな」
 こうも言う尾崎だった。
「そうも思ってるさ、しかしな」
「竜宮城に行くよりもっていうん?」
「折角棟梁さん自ら声をかけてくれたんだ」
 綾乃に彩ルク笑って話した。
「来ないと駄目だろ」
「そう言ってくれるんやね」
「ああ、まあ佐藤兄妹のうちのどっちかが声をかけてもそうしてたさ」
 関西の陣営に入っていたというのだ。
「おいらの力が必要だっていうんならな」
「何でそこであの子達なん?」
「ダチだからだよ」
 彼等がそうだからというのだ。
「それでだよ」
「ああ、あの子達と友達なん」
「学科は違うけれどな、部活の合コンで一緒になってな」
「それでなん」
「それで知り合ってな」
「お友達なん、あの二人と」
「こっちの世界ではまだ詳しく話してないけれどな」
 関西の勢力に入っている二人とは、というのだ。
「あっちは姫巫女さんの下で働いてておいらもここにいてな」
「漁をしてて」
「お互いやることがあったからな」
 それで忙しかったからだというのだ。
「会って話をしてなかったんだな」
「そやったんやね」
「けれどあの二人が来てもな」
 友人である彼等のうちのどちらかがというのだ。
「それでもだよ」
「来てくれてたんやね」
「おいらの力が必要なんて嬉しいじゃねえか」
 明るく威勢のいい声だった。
「それで魚をだよな」
「海の幸ももっと言えば川の幸もな」
「どれもだな」
「大量にしかも長い間な」
「獲る数も考えてだな」
「そうせんと食べもんはあかんし」 
 一時大量に食べられるだけでなくそれは長い間安定したものでなければならない、そもそも農業が出来ていったのも食料の安定した供給が出来るからだ。
「そやからな」
「わかってるさ、そうしたこともな」
「尾崎君は出来るな」
「養殖もそうした漁も知ってるしな」
 漁業の専門家だけあってというのだ。
「任せてくれよ」
「ほなな」
「じゃあ天下の漁業をか」
「頼むで、ひいては太平洋全域の漁業を担ってもらうし」

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