第四十七話 越前にてその二
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「食うものは俺達と同じだよ」
「そこは種族関係ないな」
「そうさ、じゃあいいな」
「ほなな」
「あいつに会いたいなら市場に行きな」
「そうさせてもらうわ」
綾乃は男ににこりと笑って応えた、そうして敦賀のその市場に向かった。
市場もかなり賑わっていた、やはり新鮮な魚介類が売られ競り合いも行われていた。その競り合いの中で。
「さあさあ、こいつは幾らで買う?」
「おいおい、鮫か」
「またでかい鮫だな」
見れば七メートルはある、種類はアオザメであろうか。身体はその名前の通り青く鋭い歯が目立っている。
「よくこんな鮫獲れるな」
「流石尾崎の兄ちゃんだな」
「今度はそのでかい鮫獲ったか」
「相変わらずやるな」
「そうさ、おいらが獲った鮫さ」
その鮫の傍に立っている上半身はじんべえで下は膝までの穿きもので素足の鮫の魚人の若者が威勢よく言った、声も若々しくて元気なものだ。
「この鮫はな」
「その鮫を幾らで買うか」
「さあ、どうするか」
「鮫だから癖があるがな」
「料理も仕方では美味いしな」
鮫はそうした魚だ、調理の仕方次第で美味くなるのだ。
「それじゃあな」
「今から競るか」
「さあ、幾らで買うか」
居並ぶ海の男達も笑顔で男に乗る、そしてだった。
彼等は競り合いをしてそうしてだった、鮫にしては高い値で売れた。鮫の男はこのことに満面の笑顔でいた。
その競り合いが終わってからだ、綾乃は競り場の奥に引っ込もうとした男のところに行って彼に声をかけた。
「人会星尾崎宏昌君やね」
「おっ、おいらのことを知ってるかい」
男は綾乃に顔を向けて笑って応えた。
「そういうお嬢ちゃんはひょっとして」
「えつ、うちのことわかるん?」
「光が見えてるからな」
それでとだ、尾崎は綾乃に笑って応えた。
「この敦賀を照らす位のな」
「光は隠してるけど」
「おいらに見えるさ、この世を照らすお日さんみたいな光がな」
尾崎は綾乃に笑顔のままこうも言った。
「光の精のな」
「それで光の精やさかいやね」
「日本で光の精は一人しかいないっていうからな」
「そうやったん」
「日本ではな、そしてその一人は」
それが誰かというと。
「関西の姫巫女さん、神魁星の紫綾乃さんだね」
「ううん、そこまでわかるなんて」
「それで姫巫女さんがおいらに会いに来たってことはあれかい?」
「そやねん、今まで声をかける機会がなかったけど」
何かと多忙だったからだ、西国の統一に今いる面子だけでの最低限の内政にとだ。関西の勢力も多忙だったのだ。
「やっとその機会が出来て」
「それでかい」
「そやねん、実は漁業のことで尾崎君にうちに来て欲しいねん」
関西の勢力にというのだ。
「それでここに来てんだ」
「おい
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