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夢幻水滸伝
第四十七話 越前にてその一
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               第四十七話  越前にて
 越前が見えてきた、すると大蛇は自身の背中にいる綾乃にその八つの頭で言ってきた。
「見えてきたで、越前」
「目指す国がな」
「都のある山城と近いからすぐやったな」
「わしの速さやったらな」
「よくこんなに大きいのに速く飛べるな」
 このことに感心して言う大蛇だった。
「自分は」
「鵺や九尾の狐並に速く飛べるで」
「伊達に神具やないからな」
「その速さにも自身あるで」
「戦と同じだけな」
 大蛇はその八つの頭で綾乃に誇らしげに話した。
「細かい動きは苦手やけどな」
「速く飛ぶことにも自信があるさかい」
「こうした時は任せてくれ」
「是非な」
「ほな他の時もな」
 笑顔で応えた綾乃だった。
「よろしゅう頼むで」
「そういうことでな」
「ほな越前が見えてきたし」
「星の奴にも会おうな」
「越前にいる星の奴にな」
「そや、波止場にいるんや」
 越前のそこにというのだ。
「一番でかい漁の波止場にな」
「よし、ほなな」
「まずはそこまで行こうか」
「それで波止場に行ってな」
「その星の奴に会おうな」
「そうして仲間に迎え入れるわ」
 このこともと言う綾乃だった。
「絶対にな」
「内政が整ってこそやな」
「ほんまに勢力として力がつく」
「そして天下も無事治まるな」
「そのうえで救われる」
「そうなるさかいな、絶対に迎え入れるで」
 その星の者をというのだ、こうした話をしてだった。
 綾乃は越前の敦賀の港に来た、大蛇はすぐに姿を消した。そこは漁業の港であり波止場には新鮮な海の幸がこれでもかとあった。
 だが綾乃は今はそうした見ただけで涎が出そうな北陸の海の幸達に今は目をくれずそのうえで近くにいた人魚の初老の男に尋ねた。
「あの、ここに尾崎宏昌って人おらん?」
「ああ、あいつかい」
 人魚の男は綾乃の言葉にすぐに応えた。
「あいつなら今は市場におるわ」
「卸し市場にやね」
「そうや、あいつに用があるんかい」
「そやねん、凄い漁師やって聞いてるけど」
「凄いぜ、あいつにかかればな」
 それこそとだ、人魚の男は綾乃にこう話した。
「どんなでかい鮫も鯨も獲るしな」
「鯨もやね」
「釣りでも養殖でもな」
「両方出来るんかいな」
「そっちも何でも知ってるからな」
 どうしたら多く釣れる、養殖で多くの魚介類を育てて食べられる様になるかということをというのだ。
「凄い奴だぜ」
「ほな今からな」
「あいつに会うんだな」
「そうさせてもらうわ」
「どの種族か聞いてるかい?」
「魚人やろ、鮫の」
 綾乃は人魚の男に太宰から聞いたその者の種族のことを出して答えた。
「確か」
「そうだよ、ホオジロザメだろ」
「そや
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