第三幕その五
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「僅かなのだよ」
「教授でもですか」
「オズの国のことをですか」
「ほんの少ししか知らない」
「そうなんですね」
「王立大学の学長さんでも」
「そうなのだよ、この国は本当に謎が多いね」
不思議なことばかりのお国であるだけにです。
「しかも広い、だからね」
「教授みたいな人でも」
「いつも本を読まれていても」
「そして冒険で見て回っていても」
「それでもですか」
「ご存知のことはほんの少しですか」
「そうだよ、本当にね」
実際にというのです。
「私の知識は僅かだよ」
「オズマもグリンダも魔法使いさんもよ」
オズの国で偉大な賢者とされる彼等もとです、トロットはお話しました。
「三人共自分で言ってるから」
「オズの国で知っていることは少し」
「そうなんですね」
「オズマ姫でもですか」
「オズの国の国家元首でも」
「それで魔法も使えるのに」
「そうなの、それでね」
さらにお話するトロットでした。
「外の世界も同じでしょ」
「人間の知識はほんの少しですね」
「ええ、人間の力は小さいから」
「その知識もですね」
「本当に少しでしかないから」
「神様とは違うんですね」
カルロスはしみじみとして言いました。
「本当に」
「勿論よ、私達も人間よ」
他ならないそうした存在だというのです。
「それならね」
「恐竜のこともですか」
「知らなくて当然よ」
「しかしそれはね」
知らないということはとです、こうもお話したモジャボロでした。
「今の時点であって」
「調べていけばですね」
「わかるんですね」
「そうしていけば」
「今は知らないことでも」
「それでもですね」
「そう、人は完成されていないしね」
まだまだです。
「どんどん学べるね」
「だからね」
また言うトロットでした。
「人は知らないならね」
「そこからですね」
「学んでいく」
「そうして知識を増やしていく」
「そうするといいんですね」
「知らないことを恥とか思わないで」
「そうよ、知らないなら学べばいいだけよ」
そうすればというのです。
「それだけのことだから」
「だから私も学び続けているのだよ」
教授のお言葉です。
「今もそしてこれからも」
「そうなんですね、教授も」
「そうだよ、彼等のこともね」
恐竜も見つつカルロスに答えました。
「学び続けているよ」
「僕達で学ぶことなんてあるかな」
「ないよね」
「特にこれといって」
「別にね」
「僕達のことなんか」
「いやいや、君達もあらゆる生きものがね」
教授は自分達について学ぶことなんてないと言う恐竜達に笑って返しました。
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