暁 〜小説投稿サイト〜
楽園の御業を使う者
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7月31日 午前6時59分。

「白夜様」

「はいはい。わかってるよ」

家のリビングで、右手を一閃。

空間の裂目が広がり、足を踏み入れる。

真夜さんの部屋…というか四葉家当主の執務室に出る。

ニュッと両サイドから伸びてきた手が、俺の頬をつねった。

「いぃっだぁい!?」

横を見ると…

「深夜さん…!?」

俺の、というかスキマの隣にレテ・ミストレスがいた。

その代わり真夜さんの気配が無い。

「やっぱり思った通りね。
久しいわね白夜君」

深夜さんが頬から手を離したのでスキマから全身を出して、水波も連れてくる。

「久しぶり、水波さん。
ごめんなさいね、私の妹が振り回しちゃって」

深夜さんが俺を無理やり椅子に座らせた。

普段真夜さんが座っている椅子だ。

「さて…白夜君。貴女が今日この家に来た理由は何かしら?」

この展開はつまり真夜さんが抜け出そうとしていたのが見つかったって事か…

「昨日葉山さんがごそごそしていたのだけど、ご存知ない?」

「はて、何の事でしょう?
私は東京は暑いから避暑にどうかと真夜さんに呼ばれただけですよ」

「あらそう? こんな朝早くから?」

「はい。東京は朝から喧しい事この上ないですから」

「そうなの?じゃぁこれから一月くらいここに居てもいいのよ?
深雪と達也ももうじき穂波が連れてくるわ」

「御言葉に甘えて、と言いたい所ですけど俺も道場に顔を出さなきゃいけないんですよ」

「武道家も大変なのね」

「ええ、それはもう」

「所で、真夜のパソコンに九校戦のチケットの予約履歴があったのだけど何か知らないかしら?」

「俺が真夜さんのパソコンの中身を知っている訳がないでしょう?」

「そうなの?てっきり私は真夜が貴女の能力を使って『また』抜け出すのかと思っていたのだけど?」

「それは貴女の妄想に過ぎませんよ」

「あらそうかしら? ねぇ、水波さんは何かご存知?」

「いえ、私には何も」

「残念だわぁ…」

"心を読む程度の能力"

深夜さんの心を読むと、どうやら真夜さんは隣の部屋のようだ。

「ねぇ白夜君」

「はいなんでしょう?」

「貴方、真夜の事好きなの?」

"千里先を見通す程度の能力"

なるほど、真夜さんの位置はそこか…

"なんでもひっくり返す程度の能力"

隣の部屋の真夜さんがすわっている椅子と俺、調度品と水波の位置をひっくり返した。

腕の中には真夜さんがいる。

「びゃ、白夜君!?」

"あらゆる物の背中に扉を作る程度の能力"

水波にアイコンタクトをとり、後ろに倒れ込む。

繋げた先は家の
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