ホロウ・リアリゼーション-alternative-
「……わたしを、つれていってくれませんか?」
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待ちください。……ショウキ!」
「了解」
いつものって何だよ、というツッコミを心中に留めながら。件の炉の上に置かれた鉄板は、炉の火によって溶けそうになるほど熱されており、ダメージを受けないと分かっていても触れたくはない。そんな炉によって熱された鉄板へ、ストレージから取り出したソーセージ状の肉をおもむろに放り込んだ。肉と油がはぜて焼ける音が聞こえてくるが、そんな音を聞いている暇はないと、ストレージからさらに切り込みを入れたパンと特製の調味料を取り出し、自作のトングで焼き目のついたソーセージを引っくり返していく。
「お待ち!」
現実ともなればまだ生肉同然だろうが、随分と手順が簡略化されたこの世界ではすぐさま熱されていて、むしろこれ以上に待たせていては肉が焦げてしまう。しっかりとし焦げ目がついて、まさしくソーセージとなったことを確認すると、用意していたパンに挟んで特製の調味料を多少。
そうして完成した品は、待機していたリズへと渡されていく。どうしてリズにわざわざ頼むかと問われれば、ショウキがお客様に渡すよりリズが渡した方がリピーターになりやすいから、という理由以外には全くない。
「お待たせしました。3つで450ユルドになります」
そうしてリズが笑顔とともに、待っていたお客様へと品物を渡す。切り込みを入れたパンにソーセージ状の肉を挟んだもの――要するに、出来立てのホットドッグである。つい最近に始めた副業というのはつまり、どんな素材でも変形せしめる火力を誇る炉の炎を利用した、簡単な軽食の提供だった。
「どうもー」
「またのお越しを!」
最初はボロボロだった炉の応急処置に鉄板を置いただけだったが、そこで失った料理スキルのレベル上げに利用できると気づいて。そこで偶然にも訪れていたキリトのアイディアによりホットドッグが完成し、アスナが試作に作っていたケチャップを塗ってみれば、なかなかの味となって完成したのだ。とはいえそのほとんどはアスナの調味料のおかげであり、リズとともにレシピだけでもと頼み込んだ甲斐もあって、アスナのものには遠く及ばないがそれなりの売り上げだ。
「……やっぱ、ちょっと複雑ね」
調子に乗って実装した第二弾である焼きそばは爆死したものの、さらに導入した石焼き芋ならぬ炉焼き芋がそこそこ好評なところを見るに、食べ歩きも出来る軽食が売れ筋なのかもしれない。そうして赤字危機へのストッパーに一役買ってくれている、リズベット武具店の食品部門だったが、単純に武具の品質で勝負したいリズは複雑な心境らしく。
「……リズ」
「わーかってるわよ。ああして目当てのお客様も来てくれるわけだし……いらっしゃませー!」
そうしてショウキの困った時の癖のように、バンダナで結んだ髪をぐじゃぐ
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