ホロウ・リアリゼーション-alternative-
「……わたしを、つれていってくれませんか?」
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なると……難しいわね」
「……そう簡単には見つからないだろうとは思ってたけどな……」
繰り返しになるが、レプラコーンの商人ギルドからの援助がないこのリズベット武具店には、インゴットや素材の安定した供給先の確保は急務だ。今はNPCの店から勝った素材や軽いメンテナンス、とある副業で間に合わせてはいるが、やはり店売りのインゴットでは見劣りは避けられないでいる。かつてキリトの武器の素材となった《クリスタライト・インゴット》のように、特殊な素材にしなくばリズベット武具店に未来はない。
「となると、残りは……また調べないとね。情報代も高くつくわねぇ……」
「ああ……調べると言えば、リズ」
外から訪れる客には見えないように可視化されたウィンドウには、ショウキが趣味も兼ねたここ一週間ほどの収入と収支がまとめられているが、赤字ではないのが奇跡のようだった。そこはこのアインクラッドに繋がる転移門近くに店を確保したリズのおかげと、思いつきで始めてみた副業がわりと好評なことによってであり、肝心の自社製品は伸び悩んでいるのも確かだが。ついでにインゴットの入手先の情報などの雑費もかかっていて、二人でため息まじりにウィンドウから目を離せば、ショウキが思い出したかのように声をあげる。
「どうしたの?」
「いや……さっき、変なクエストに遭遇してさ」
「変なクエスト?」
いつまでも赤字ギリギリなウィンドウだけ見ていても仕方ないと、お互いに自分の出来る店の準備をしながらも、ショウキはつい先に遭遇した妙なクエストのことを呟いた。感情表現が薄いドレス姿の少女を、このイグドラシル・シティに連れてきたクエストを。
「へー……確かに聞いたことないわね、何かの連続クエストの始まりっぽいけど」
「そうならいいけどな」
リズは新しく作っていた出来映えのよい武器を店頭に飾っていて、ショウキはまだ使っていないインゴットや研磨剤など素材の残量を確かめながら、先程の少女のことを話し終えた。連続クエストの始まり、というのはショウキには思いもよらなかったが、クエストログにそんな兆しはない。
「最終的に未知の鉱石が見つかるようなクエストなら、あたしとしても大歓迎なんだけど……っと、いらっしゃませ! 何をお求めですか?」
外から覗く場所から常連のお客様が見えると、二人とも即座に軽口を止めると、ショウキはそのお客様が恐らく頼むであろう商品を用意し始めた。昔のリズベット武具店になくて今のリズベット武具店にあるものの一つとして、鍛冶をするための炉の上に大きい鉄板が置いてあることだ。鉄板は特にそれ自体が鍛冶に役立っているようなことはないが、つい最近に始めた新事業のためには必須であって。
「いつもの3つ、よろしく!」
「はい、少々お
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