ホロウ・リアリゼーション-alternative-
「……わたしを、つれていってくれませんか?」
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と話していく。
いわく、ショウキの将来の夢はなんだと、母親にからかわれたのだと。来年でこのSAO生還者学校も卒業する以上、就職するにしろ進学するにしろ、確かにそろそろ決めていてもいい頃であって。その辺りは子供の頃からの夢があるリズにはもう解決した話であるが、あいにくとショウキには心当たりもないようで。
「色々とやってみたけど……俺はどうも欲望ってものが少ない、みたいだ」
「ああ、いつだか色んな資格を取るのハマってたわよね、あんた」
「……本当に、リズと一緒にいられればいいんだ。俺は」
漢検や会計士といったよくぞといったものから、箸のキレイな持ち方検定というよくわからないものまで。ただ受けていただけではなくて、彼なりに何かを探していたようであったらしいが、あまり手応えはなかったようだ。そうしてショウキが珍しくもらす本音には、この居心地のいい学校で時間が止まればいいのに、とでもいいたげなものだった。
「どこが無欲なんだか。あたしとずっと一緒にいたいなんて、強欲も強欲じゃない」
「言われてみれば……そうだな」
そう冗談めかして、指と一緒に現実を突きつければ、ショウキの表情も鳩が豆鉄砲でも食らったような顔に変わる。とはいえ確かに、あのデスゲームをから生きていればそれでいいなどと、悪い意味で悟ってしまった彼は、次の瞬間にもどこか消えてしまいそうな儚さがあって。
「ゆっくり考えましょ。あたしたちのこれからは、いくらでも時間はあるんだから」
「そう……だな。悪かった、いきなりこんな話して」
「あたしが聞いたんでしょ。確かにちょっと重いけどねー」
「勘弁してくれ」
無意味なほどに生真面目で、根暗で、見栄っ張りで、不器用で……消えてしまいそうで、放っておけなくて。それでも何かあれば、すぐに駆けつけてくれる優しさがあって。今も困ったように笑う彼の、ちょっと困らせたくなる表情が、リズは特に好きだった。
「ほら、さっさと終わらせちゃいましょ! 新しい店があたしたちを待ってるんだから!」
……二年半。上空に浮かぶあの浮遊城《アインクラッド》がデスゲームの舞台であった頃から、もうそれだけの時間が経過していた。言葉にしてみれば簡単なことだが、当事者からしてみれば一生の半分をあのデスゲームに費やされた、そんなような気分まで感じてしまう。
「ん……」
とはいえ二年半という時間は決して短いものではなく。ようやくあのデスゲームから真に解放されたショウキは、ただ妖精たちの遊び場となった《ALO》でゆっくりと目を覚ました。
「はぁ……」
新生アインクラッド第十八層。今や第五十層までが解放されており、最前線は三十六層だというのだから、こんな中途半端な層には人気があるわ
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