第二章:アルヴヘイム・オンライン
第二十二話:傷痕
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返るユウキの肩を掴み、目を白黒させる彼女を、そのまま抱き締めた。
「今日は一緒に寝よう、ユウキ」
今、ユウキがオレに見せた表情は笑顔だった。それは彼女にできる精一杯の強がりだった。両親を喪い、誰よりも側にいた双子の姉を喪い、それでも前へ進もうとする健気な少女の、懸命な強がり。
だがそれは、最早必要のないものだ。
「オレがいる。もう、独りにはさせないから」
家族四人で住む為に買ったこの家は、一人ぼっちのユウキには大き過ぎた。彼女はいつもこの大きな家で、独りで生活してきた。だから自然と身に付いてしまったのだ。寂しさを押し込める方法、孤独を紛らわす方法を。
けれどそれはもう必要ない。
寂しいならば、オレがその空白を埋めよう。孤独を感じるならば、満足するまで抱き締めよう。
「今夜はユウキの話を、兄ちゃんに聞かせてくれ」
ユウキは抱き締められたまま、小さく頷いた。くぐもった嗚咽が聞こえてくる。
オレ達は暗闇の中、暫く抱き合いながら泣いていた。
To be continued
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