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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第二章:アルヴヘイム・オンライン
第二十二話:傷痕
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「……いや、なんでも」

 少々細さの目立っていた彼女の身体は、二年と言う月日を経て格段に女性らしくなっていた。それは別に構わない。むしろ健やかに育っていることを喜ぶべきだ。
 だが、その成長した身体で、昔の距離感のまま近づかれると、少々目に毒――いや、眼福ではあるのだが。

 SAOでユメやネロ、リンに少し迫られただけで危うく理性を忘れそうになる程に軟弱な理性を持つオレにとって、ユウキの距離感は由々しき事態であった。

 だが。

「んふふー」

 ブンブンと振られる犬の尻尾を幻視してしまう程に上機嫌な我が麗しの義妹相手に「離れろ」なんて言えるはずもなく。
 ただひたすら、テレビの画面を脳にインプットする作業に没頭するしかなかった。


「そういえば」

 ドラマがコマーシャルに移った際、隣のユウキが思い出したように声を発した。

「兄ちゃん、学校どうするの?」

 それはオレが一番心配していたことだった。親戚たちがこちらを快く思ってはいない限り、彼らからの援助はあまり期待できない。少なくとも、こちらに選択肢は与えられないだろうと。
 思った通り、学費は肩代わりしてやる代わりにこの学校へ行けとの指示があった。

「ここに決まった」

 テーブルに置いていたパンフレットをユウキに手渡す。

「高等専修、学校?」

「ああ。SAOの学生被害者を支援するために創設された学校だそうだ。二年通えば高卒の資格が入手できるらしい」

 なによりも学費が抑えられる、ということが親戚たちに高評価だったらしい。まあ、通信制の学校を覚悟していたオレからすれば学校に通えるだけでありがたいのだが。

「……兄ちゃんは、それでいいの?」

「どういう意味だ?」

 ユウキの問いの意味を測りかねていると、彼女は抱えた膝に顎を乗せ、口を尖らせながら言った。

「兄ちゃんの学力があれば、今からでも一般の高校にも編入できるでしょ?でも、そうしないのはもしかしたら、あの人達のせいなのかなって」

 ユウキの言う「あの人達」というのは、オレとユウキの後見人である親戚のことだろう。どうやら彼女は、親戚からの圧力がかかっていると思っているらしい。

「まあ、ユウキの言う通り進学校でもなければ編入試験で入れるかもしれない。けどな、これはオレが決めたことだ。オレは自分の意思で、この学校へ行くと決めたんだ」

 そう。親戚達から命令されたとはいえ、それに対してオレは特に反論はしなかった。むしろ彼らからの指示がなくても、オレは進んでこの学校を選んでいただろう。
 理由は幾つかあるが、一番はこの学校が次世代学校のモデルケースとされているため、学内の設備が充実しているという点だ
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