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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第二章:アルヴヘイム・オンライン
第二十二話:傷痕
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だったみたいで、各勢力大騒ぎらしいよ」

 まんまと情報を掠め取られていたこと、そしてそれに露ほども気づかなかった自分に微かな苛立ちを感じるが、スリーピング・ナイツは各勢力の軍拡競争とは無関係だ。このやり場のない悔しさは、溜息一つと、コーヒーで飲み干すことにした。

「それで、君の方から連絡をくれたってことは、協力してくれるということかな?」

 対面に座る菊岡さんの表情は、心意を計れない貼り付けたような笑顔。さて、どうやらただの子供であるオレには彼の笑顔の裏まで読み取るのは難しい。

「……純粋な疑問なんですが、オレが動いたところで問題の解決には至らないと思います。こんな子供一人がゲームの中で何かするよりも、貴方達が組織立って動いた方が何倍も早く解決できる。なぜ、貴方はオレに協力を申し出たのですか?」

 どれだけVRMMORPGに適性があったところで、どれだけゲームの世界で強かったところで、現実に立ち戻ればオレはただの子供だ。格闘の心得はあれど、未帰還者の原因解明なんて芸当は、運が良くない限りは無理だ。そんなオレに協力を要請する必要は、果たしてあるのだろうか。

「……君になら少し話しても構わないか。いや、話すべきなのだろう」

 そう呟くと、菊岡さんは鞄からA4サイズのファイルを取り出し、数枚の書類をテーブルの上に置いた。

「これは、今回の未帰還者事件に関する捜査資料だ。部外者に見せてはならないものだが、なに、君はもう部外者ではないからね」

 この資料を見たのなら必ず協力してもらう、菊岡さんはそう言っているのだろう。
 まあ、元より依頼されずとも独自で原因の究明は行うつもりだったから問題はない。躊躇うことなく資料を手に取る。

「……ボク達は今回の未帰還者が存在することは偶然ではなく、人為的なものであると断定している。そして、既に首謀者も判明している。まあ、まだ犯人ではなく容疑者なんだけどね。二枚目を見てごらん」

 言われるがまま、資料の二枚目に目を向けると、そこには二枚の写真が貼られていた。その二枚目に写っている顔に、思わず、呼吸が止まりそうになる。



「一枚目の男の名前は、須郷伸之。そして、二枚目の男は――――」
「――カリギュラ」



 人の良さそうな上辺の笑顔。それを、オレは知っている。

「……この男を知っているのかい?」

「…ええ。この男を、SAOで知っている。プレイヤーネームは『カリギュラ』。一時期オレと同じギルドに所属していたものの、死の恐怖からか精神を病み、そして自ら死んだ男です。オレはこの目で、確かに、この男がアインクラッド外周部から身を投げたのを見た」

 アイギスはオレの手によって壊滅したが、それ以前にも二人
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