第二章:アルヴヘイム・オンライン
第二十二話:傷痕
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でいてくれたタクシーに乗り込み、行先を告げる。場所は、ここからそう離れていないカフェだった。
† †
「やあ、久し振りだね。退院おめでとう、縺君。揉め事もなんとかなって良かった」
「お久しぶりです、菊岡さん。その節は、ありがとうございました」
先に着いていた菊岡さんと合流する。オレから彼に連絡を取ったのは、親戚とのいざこざが一段落着いた一昨日の昼頃。礼を兼ねてと思いなんらかの品を用意しようかと考えていたところ、菊岡さんのほうから気にしないで構わないと言われたため、今日は病院から直接待ち合わせ場所まで来た。勿論、後日菓子折りかなんかは贈らせてもらうが。
「退院早々呼び出してしまってすまないね。何か頼むかい?」
「ではコーヒーを。ブラックで構いません」
「ケーキとかはいいのかい?」
「糖質制限中なので」
今現在のオレの身体は、SAOに囚われる前の70%というところまで筋力やその他諸々は戻ってきている。倉橋さんはゆっくり戻していけばいいと言っていたが、先日、師匠から連絡があり、顔を見せに来いと言われてしまった以上、急ピッチでトレーニングを行わなければならなくなってしまった。
コーヒーが運ばれてくるまで他愛のない世間話をしていたが、オレが一口飲み、カップをソーサーに戻したところで菊岡さんは姿勢を正した。オレも、それに倣うことにする。
「さて、どうやら君たちは世界樹の攻略を行ったそうだね?」
「……敢えて聞きます。何故、知っているのですか?」
病室で菊岡さんと出会ってから、今日に至るまで、彼とはALOの調査についての話は一切してはいなかった。スリーピング・ナイツが世界樹攻略を試みたことなど、知らせてはいない。
「そんなに警戒しないでくれ。ほら、これを見てごらん」
そう言って差し出されたタブレット端末を受け取り、表示されている画面を見てみる。
「……ALOの情報サイト? これが一体―――」
呟きながらサイトを下へスクロールしていくと、とても見覚えのある白壁と騎士型のmobの姿、そして、陣形を作りながら昇っていく彩り豊かなプレイヤー達のスクリーンショットが何枚も貼られていた。
「世界樹攻略はこのゲーム最大のクエストだからね。当然、各勢力の偵察隊が滅多に来ない挑戦者を常に待ち構えている。世界樹攻略最有力のサラマンダーはこの情報を秘匿したがったらしいけど、結果はこの有様さ、匿名の誰かが多くのプレイヤーが見るであろう情報サイトに写真をぶちまけた。それがこれだよ」
「……なるほど。ご丁寧に全員分のプレイヤーネームも調べられているらしい」
「ちなみに、君たちが苦戦したドラゴンは新発見
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