EATING 24
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夜架は俺を主と呼んでくれてるけど、夜架に主って呼ばれるほど、俺は立派な人間じゃぁない」
翼がトリオン体を解除した。
羽と光輪は隠していた。
そして、手の中に小さな光の珠を産み出した。
「この力は、顔も知らない誰かの命で出来てる。
俺はその事は気にしない。
でも、そんな奴があんな真っ直ぐな二人に慕われていいのかな…」
刹那、雪乃が翼の頬を打った。
ランク戦の観戦に来ていた隊員の視線が、二人に集まる。
「貴方が自分を貶める事は、貴方が助けた私達を蔑ろにする事よ」
「すまん。雪乃」
「わかればいいわ」
「ひっぱたく必要性の説明は?」
「『カッとなってやった反省はしている後悔はしていない』よ」
周囲の影響で『イイ』性格になりつつある雪乃の返しに、翼は肩をガックリとおとした。
「はぁ…まぁいいや」
翼が自分の頬を一撫ですると、雪乃につけられた紅葉が消えた。
「それで、貴方の躊躇いとかは抜きにして、二人をどう思うのかはっきり言葉になさい」
「言葉に…か…そうさな…」
少し考えて、翼が口をひらいた。
「俺には勿体ないくらい、頼もしくて、強くて、美しい。
あの二人を庇って死ねるなら、迷わず死ねる」
それを聞いた雪乃は笑みを浮かべた。
『そんなの、「愛してる」って言ってるような物じゃない』
「そう、それが聞けて良かったわ」
「という事です迅さん」
「ありがとね、雪乃ちゃん」
「何を企んでいるんですか」
「今回ばかりは何も。ただ、今日君が彼等に話した事で、彼等に亀裂が入る事は阻止できた」
「やっぱり企んでいたのね」
「翼は、幸せにならないといけない。
アイツには、英雄の最期を迎えさせるわけには行かないんだ」
「……がんばってください」
雪乃が踵を返し、迅に背を向けて歩き出す。
「雪乃ちゃん」
「なんですか」
「君が結ばれる相手は翼君じゃない。
だけど、君はきっと幸せになるよ。
あと、毒を吐くのはほどほどにね」
「ご助言心に留めておきます」
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