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おぢばにおかえり
54部分:第九話 座りづとめその二
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第九話 座りづとめその二

「これから気をつけるわ」
「そうして。あとね」
「ええ」
 ここで話は私のことになりました。
「この口紅どうかしら」
「いいんじゃないの?」
 私の口紅にこう答えてくれました。
「似合ってるわ。その赤」
「唇が気になるのよ」
 私は一番気にするのはそこです。アイシャドーはこれといってですけれど。
「昔から」
「ちっちって唇奇麗なのに?」
 彼女は私の言葉に首を少し傾げて言ってきました。
「それで?」
「奇麗かしら」 
 実は私にはその自覚はないです。ただ気になるだけで。
「元々色もいいし。そんなに気にすることないと思うわよ」
「だといいけれど」
「それよりもちっちは」
 ここで話を変えてきました。
「背ね」
「それは言わないでよ」
 またこれを言われてムッとします。
「一番気にしてるんだから」
「努力もしてるのにね」
 毎日豆乳を飲んでることは彼女だけでなくクラスの皆も知っています。寮の皆も。
「伸びないわね」
「だから悩んでるのよ」
 これは本当のことです。否定できません。
「どうしたものかって」
「無理じゃない?」
 素っ気無く行為割れました。
「背が伸びるのは」
「何よ、それ」
 言われると。これだけはどうしても否定したくなります。実際にそれを否定しました。
「背が伸びないっていうの?私が」
「ええ」
「また随分とはっきり言うわね」
 あんまりにもはっきり言われたのでこっちもこれといって言い返す言葉がありませんでした。それに悪意もないのがわかっていましたから。
「けれどそうじゃない」
「伸びるわよ」
 私は少し意固地になってこう言い返しました。
「絶対にね」
「伸びると思っているのね」
「当たり前じゃない」
 また言います。
「努力してるんだし」
「それは認めるけれど無理だと思うわよ」
「遺伝だから?」
「ええ。だってちっちのお母さんの家系ってあれなんでしょ?」 
 これは彼女にも話しています。その通りですけれど。
「じゃあやっぱり無理よ」
「無理ってそれは」
「諦めた方がいいわよ。それに小柄なのって全然悪いことじゃないし」
「当たり前じゃない」
 それが悪かったら世の中大変なことになります。幾ら何でも小さいからって悪いということにされたらお話になりません。それを言ったら私のお母さんだって。
「それが理由になるわけないでしょ」
「そうよね。おまけに」
「おまけに?」
「芸能界でも案外小さい人多いじゃない」
 これは本当ですけれど。安達裕美さんとか千秋さんとか。正直に言いますと御二人共好きです。ベテランの方ですと浅香唯さんなんかも好きです。
「だからよ。そんなに気にすることは」
「そういうものかし
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