「ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……わ、た、し?」
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て望んでいたクエストNPCではなかったにもかかわらず、わざわざこうして様子まで見に来ているのかと。先には、ショウキにまだプレミアには何か隠されているような気がする、などと漏らしたが。
「……リズの言う通りだヨ。放っておけないじゃないか、何もないアイツがどうするのカ」
こちらから視線を外して言いにくそうにそう呟く姿は、まるであの《鼠》のようではなかったけれど。生来から面倒見のよいアルゴという一個人が始めて見えた気がして、視線を外された隙に接近したリズがフード越しに頭をグシャグシャに撫で回した。特にネコミミを重点的に触られているらしく、ケットシーたちが口を揃えて『尻尾と耳はダメだ』と言うだけあって、アルゴも見たことがない表情を晒していた。
「最初からそう言っときゃいいのよ、もう!」
「ヤーメーロー! おいショウキ! 責任もって止めロ!」
「そういやあんたケットシーだったわね! シリカの代わりになりなさい代わりに!」
アルゴも負けじと逃げようとするものの、やはり敏捷特化のアルゴと筋力特化のリズでは、掴まった時点で勝負は決まっている。そして同じくショウキにも止めることなど出来ないと、アルゴへと悼むように手を合わせたが、助ける素振りぐらいは見せてやるかと話しかける。
「そういえばリズ、防具のことなんだけど」
「防具? ……あー、やっぱり難しいわね」
「……何のことダ?」
「新商品よ」
ショウキの問いかけにリズが商売人の表情となったことで、アルゴもリズの可愛がりから抜け出し、威嚇のような鳴き声を響かせるとともに。いそいそとフードや服の乱れを直しながら、話を逸らそうとしてかショウキの話題に乗ってきて。
「今まで武器しか作ってなかったけど、この素材があれば防具も作れるんじゃないか、って。ほら、ちょうどそこに初期装備みたいなのもいるし」
「ああ……」
リズベット武具店という名の通りに、浮遊城の頃から武器専門だったが、新装開店とともに防具へ手を出したらどうか――と、新規業務について話していたことが数度ある。とはいえ素材の要求数や鍛冶スキルから現実的ではなく、視線を向けられる初期装備みたいなの――すなわちショウキが実験台として、試作的な防具は作られていたものの、売り物としてのレベルには達しておらず。
「でもまあ、やっぱり今のところは武器専門店ね」
「この素材なら少しは何とかなるかもしれないけどな」
「なるほどナ……それにしたって、ショウキ。少しぐらいは防具に気を使った方がいいと思うゾ」
竜人ギルバートからいただいてきた《聖樹の鉱石》を手の中で弄っていれば、途端にアルゴの視線と矛先がショウキへと向く。確かにリズからも指摘があった通り、今のショウキの装備は初期装備同然
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