暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる・外伝
金城零二vs幻想殺し・1
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

『ほぅ……拳法か』

 何となくだが、構えから相手の戦闘スタイルを読み取る事は出来る。上条の構えは流派までは解らんが、中国拳法に近い構えだ。しかも、それが無理無く堂に入っている。身体の鍛えが甘いと思ったが……これは警戒のレベルを1段階引き上げるべきだろうな。




「始めっ!」

 大淀の掛け声と共に弾丸のように突っ込んでくる上条。素早い上にしっかりとバネを活かした踏み込みだ、良いねぇ。

「おおぉぉぉぉぉぉっ!」

 風を唸らせ、右拳が俺の顔面に迫る。上条の顔には『ポケットなんかに手ぇ突っ込みやがって、その余裕面にぶちこんでやる!』ってデカデカと書いてある。こういう風に相手の怒りを誘って、テレフォンパンチを引き出すってのも喧嘩の常套手段なんだがなぁ……まだまだ青い青い。

『ケツの青いガキにはまだ……負けてられんのよ、っとぉ!』

 俺は腰を捻りながら、ポケットから手を抜く。腰の捻りで加速した俺の両手は上条の拳が俺の顔面を捉える前に右腕を掴ませる。相手の殴りに来ている運動エネルギーを殺さず、むしろ更に加速させる為に両手で引き込む。そのまま身体を捻って背負い投げの体勢に入り、引き込んだお陰で体勢の崩れた上条の腰の辺りを俺の腰で跳ね上げる。勢いもあるから、軽く跳ね上げてやるだけで上条の身体が宙を舞う。

「ぐぅ……っ!」

 意表を突いての背負い投げのカウンターのつもりだったんだが、上手く受け身を取られちまった。受け身が取れていなければ息が詰まって当分動けなくなるだろうからそのままマウント取ってタコ殴りにでもするんだが……まぁいいや。すかさず追い討ちの為に倒れ込んでる上条の顔面にストンピングを仕掛ける。

「うぉヤベェ!」

「ちぃっ!……外したか」

 が、咄嗟に躱される。防御や回避の技術も中々のモンだ。よほどいい師匠がいると見た。上条は俺から距離を置き、再び構え直す。が、俺とのガタイの差を見比べて攻めあぐねているようだな……試合の最中だってのに動きが止まってやがる。そんな殴って下さいと言わんばかりの隙に、襲いかからないとか有り得ねぇよな?変身中のヒーロー戦隊を襲わない悪役じゃあるまいし。

「動き止めてると、ボコられんぞぉ?」

 俺は両手で拳を握り、ステップワークで右に左に動きながら距離を詰める。距離を詰めながら相手に考える暇を与えないようにするなら、ボクシングスタイルが一番いい。攻撃力を考えずに手数を多くすれば、それだけ相手が避ける事に専念しないといけなくなるからな。ジャブ、フック、アッパー、ストレート。上下左右に的を散らしつつ色々な方向から拳を振るう。しかし上条も上手くかわしたりブロックしたりして有効打を取らせないが、その表情には迷いが見える。コイツ、まだ何か隠してやがるな?


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ