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レーヴァティン
第四十九話 八人目のことその十一
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 二つの街の位置と距離その間にある地形も重い浮かべつつだ、彼は言った。
「遠いな、しかしな」
「川を使うとだな」
「結構早く行けるな」
「それがわかってるのは凄いな」
「歩くよりもだろ」
 久志は笑って親父に言葉を返した。
「ずっと早いだろ」
「あんたわかってるな」
「ああ、じゃあな」
「これからミラノに行くかい?」
「やるべきことを済ませたらな、しかしな」
 ここまで話を聞いてもだった。
「あまりこれといってな」
「あんたにとって有益な話はだな」
「なかったな」
 実はあるがもう聞いた話ばかりなのでこう親父に言ったのだ。
「どうもな」
「そうか、じゃあミラノに行くんだな」
「そうするな、次は」
「川から船でだな」
「それで行くさ、また船か」
「ははは、便利だからな」
 笑顔での返事だった。
「船の方が」
「だよな」
「昼も夜も進めてな」
「しかも歩くより速いしな」
「だからな」
「ミラノに行くならか」
「もう馬とか足で行くよりもな」
 それこそというのだ。
「船の方がずっといいぜ」
「速くてか」
「しかも安全だからな」
「陸で行くとな」
「戦に巻き込まれたりな」
 道中においてだ。
「そしてな」
「賊も出るよな」
「まあ川も出るけれどな」
「川賊だな」
「けれど陸にいる時より少ないしここからミラノまではな」
「川賊も少ないんだな」
「ああ、だからな」
 このこともあってというのだ。
「あそこまで行くなら川を使った方がずっといいぜ」
「わかった、それじゃあな」
 久志は親父の言葉に頷いた、そうしてだった。
 親父から店のアクセサリー、女性用のそうしたものを幾つか買った。そうしてそれから暫くはだった。
 居酒屋に入りそこでマンモス等北の獣達の肉の燻製をこの時も口にしながら酒を飲みつつ店の中で飛び交う情報を聞いていた、するとここでも新しい情報があった。
「リスボンの香料が安いか」
「ああ、今はな」
「それも破格の安さらしいぞ」
「それでお仲間が大勢そっちに行くらしい」
「この島全体に売る為にな」
 商売の話もあった、そして他にもあった。
「ロンドンは相変わらず雨が多いぜ」
「おいおい、あそこは一年中雨だな」
「全く、あそこには困るな」
「雨の多さにな」
「ネス湖にはドラゴンが出る?」
「それ嘘だろ」
 ある湖の話も出ていた。
「あそこのドラゴンはサーペントだろ」
「いや、大きな鯨だろ」
「恐竜じゃないのか?」
「アシカだと思うがな」
「ダブリンの辺りはジャガイモ飢饉になってるぞ」
「それでパンばかり食ってるらしいな、今は」
「パンだけじゃ辛いだろうな」 
 この島の主食はパンだけでなくジャガイモもそうなっているのでそうした
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