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2章 生き様
15話 単独行動其の二〜リア編〜
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部屋で、四方を囲んだ床や壁しかない。のだが…



 最初にリアの目に飛び込んできたのは、赤く、そしてオレンジに輝く光だった。








 中は、まるで洞窟のような印象だった。天井は高く、ドーム型で、いくつも石柱がぶら下がっている。だが、普通の洞窟にないものがある。それは…マグマの湖だった。




 熱く滾るマグマは、ボコボコとその熱さを証明するように音を奏で、熱風をまき散らしており、洞窟の中は茹だるような暑さだ。まあ、もしリアルでこんな洞窟があったのなら、茹だるようだなんて言ってられないほどの灼熱地獄だろうが。


 湖には、まるで花道のように、一本の道が中心に向かって伸びている。そう、まるでそれは、このマグマの湖が舞台だと言っているように。





「…なぁるほどね」

 
 そうつぶやくと、リアはゆったりとした足取りで、その道に足を踏み入れる。ブーツが踏み鳴らす音が、洞窟の反響効果により、やたらに大きく聞こえる気がした。


 中心にあと数メートルでたどり着くか、という距離になったとき、リアは高らかな涼しげな金属音とともに、愛剣を抜き放つ。




 その瞬間、まるでそれが合図だったかのように、湖の底で、何か蠢き、地の底で低い、低い地響きがする。やがてそれは徐々に大きくなっていき、目の前のマグマの中から、一気に何かが盛り上がった。マグマの滝が流れ落ちると、そこには巨大なドラゴンが、ゆうに数メートル上からリアを見下ろしていた。



 赤黒い鱗はマグマの光を照り返すほどに光沢があり、半分開かれた翼は、完全に広げたら洞窟の直径に匹敵するほどの長さだろう。そして、これまた巨大な頭から生える割合短めの角は、一瞬「…ある意味があるのか?」と思わせる。いや、実際なくても何の差支えもないだろう。



 前足から生えている鉤爪はゆうに20pを超えていると思われ、かなりの脅威と思われた。






 その巨大なドラゴンは、固有名“インフェルノ・ドラゴン”




 大方相手の体を見終わると、リアはすっと重心を落とし、中段で愛剣を構える。息をゆっくりと吐き、リアとドラゴンの視線が交錯する。



 が




 今にも飛び掛かる体制に入り、飢えた狼のように爛々と輝くリアの目が、驚愕で大きく見開かれる。


 なぜなら…










「まさかここに人間が訪れる日が来るとは思わなかったわい」



 いつも共にいるツカサの、(うら)らかな日差しのような美声とは真反対の、低く、しわがれた声が、洞窟内に反響する。


 インフェルノ・ドラゴンの紅炎の瞳は、本能のままに行動する獣のもの
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