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2章 生き様
15話 単独行動其の二〜リア編〜
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なく、ただ地上へと上がる階段だったらいいのに、と思いかけ、寸でのところで首を振った。それを望むことは、=ツカサにボス戦をさせることを望むことになってしまう。


 今頃ツカサ君はどうしてるんだろう…リアはふとそんなことを思いながら、右の耳朶にぶら下がっているイヤリングにそっと触れた。








「ったく、リアのやつ…!」

 そのころ、ツカサが索敵スキルが使い物にならないために、奇襲を受け、リアに毒づいていたことを、知る由もない。


 



 別れてから45分。15分ほど前から下降している螺旋階段に変わり、すでにかなりの段数を下りたはずなのだが、一向に何か現れる気配もない。だが…


「…重い…」

 リアは、普通の人では気づかないほどの、微々たるラグを敏感に感じ取っていた。






 通常のモンスターよりも多くの情報量を必要とするボス部屋周辺では、容量が重くなるため、それがプレイヤーが操るアバターの反応速度に影響するのだ。流石に、ひと昔の容量が重くなったスマートフォンのように、どこか一点をタップすると、それが3秒ぐらい時間をかけてやっと反映されるほどまではいかないが、本当に重い部屋は、ほぼ全員がそのラグを感じられるくらいまでにもなる。

 技術が進歩し、最先端の機器といわれるナーヴギアでも、水などの容量を多くとるものも苦手としている。やはり、容量の問題はなかなか大きなものなのだろう。



 
 

 恐らく、この先にボスがいる。リアは拳を強く握りしめた。







 そしてその数分後、リアの目の前には、巨大な石の扉が待ち構えていた。目測で、縦3メートル、横2メートルほどで、フロアボスの部屋の扉ほどの規模だ。


 そんな大きさにも目もくれず、リアの視線は、その扉の表面に吸い寄せられていた。




 一本の巨大な剣が、描かれていた。恐らく、リアの身長ほどもある。しかし、それはただの剣ではない。恐ろしいほどの禍々しいオーラを纏い、それはリアの目をくぎ付けにした。リアは、一瞬背中を誰かが下から上へ、なでたような感触を覚える。


 

 そして、彼女の顔に浮かんだのは…微苦笑だった。




 そう、リアはすべてを悟ったのだ。



 この部屋は、自分にしか入れない部屋だと。




 “この力”を持つ自分のためだけにある部屋だと。








 リアの白い右手が、その扉をゆっくりと押す。蝶番がきしむ甲高い音と、扉と床がこすれる低く鈍い音。そしてその音に、松明が次々と燃え上がる音が加わる。





 


 通常、ボスモンスターの部屋は、ただの箱の
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