48部分:第八話 はじまってからその四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第八話 はじまってからその四
「子供に言うみたいね」
「だってちっち小さいから」
それは余計です。それに。
「あんただってそうでしょ」
すぐにこう言い返しました。彼女も小さいですから。私よりは高いですけれど。
「小さいのは」
「ちっちよりは高いわよ」
やっぱり。こう言ってきました。
「それでもね」
「どうせ私は小さいわよ」
何かこの台詞中学生の時から言っています。気にしていますけれどどうにもなりません。
「けれど仕方ないじゃない」
「気にしない気にしない」
「気にするように言っているのは誰よ」
「まあまあ」
そんな話をしているうちに授業です。ホームルームがなくていきなり授業です。あとうちの学校には下駄箱というものがありません。そのまま靴で校舎に入ります。だからお掃除の時砂が多かったりします。
授業が終わって部活が終わって。寮に帰る前に参拝です。
「今から帰るの?」
「あっ、はい」
長池先輩が隣に来てくれました。凄く優しい顔で笑っています。
「そのつもりですけれど」
「デートとかはしなくて」
「デートなんてそんな」
全然考えたこともありません。この学校に入ってから本当に。
「彼氏なんて」
「いないの」
「はい、やっぱりそういうのは」
ここで先輩に言いました。
「結婚する人とですよ」
「何、それ」
先輩は私の言葉を聞いて急に笑いだしました。
「結婚するまで、というか結婚する人としかデートしたり彼氏になったりとかしないの?」
「駄目ですか?」
「駄目じゃないけれど」
黒門に向かう暗くなりかけの道で二人で話をしています。道が紫色になっていてお空は青と赤、白から少しずつ黒くなりだしています。何もかもが黒の中に消えようとしています。そんな中で二人で話をしています。
「ただ」
「ただ?」
「随分硬い考えね、それって」
先輩はくすりと笑って私に言うのでした。
「今時そんな人がいるんだって思ったわ」
「そんなにですか」
「そうよ。まだそんな人がいるんだって驚いたわよ」
「はあ」
「まあちっちらしいかな」
そのうえでこうも言われました。
「真面目で。私なんかにはとても」
「先輩も真面目じゃないですか」
長池先輩って奇麗で優しいだけじゃないんです。とても真面目な人でもあります。それが私の同級生達からは怖いって言われたりもしますけれど。
「そんなことは」
「私だって真面目なだけじゃないわよ」
それでもこう言ってきました。何か寂しい感じで笑いながら。
「色々あったからね」
「色々ですか」
「ええ。まあそれは何時かね」
今はお話してくれませんでした。
「話させてもらうかも。けれど今は許してね」
「許すも何も」
そんなの私が言えた義
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ