巻ノ百三十二 講和その六
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「お願いします」
「それでは」
「何を話しておる、とにかく講和すればわらわは大坂におられるのじゃな」
「その場合お覚悟はありますか」
「覚悟とな」
「そうです、何があろうとも」
「おかしなことを言う、そもそもそなたと共に住めとな」
茶々も常高院にこのことを問うた。
「一体どういうことじゃ」
「また申し上げますが私と共に穏やかに住みませぬか」
「何故じゃ、わらわは天下人の母であるぞ」
「ですから」
「とにかく講和じゃ、わらわは講和して大坂に留まる」
「そのおつもりは変わりないですか」
「だからどうして変わるのじゃ」
あくまでこう言う茶々だった、そしてだった。
常高院には己の言いたいことだけを言い幕府に伝える様に言った、常高院はすぐに家康の前に出てそのことを伝えたが。
その常高院にだ、家康は難しい顔で問うた。
「わからなかったのじゃな」
「はい、申し上げましたが」
家康に項垂れた顔で返すしかない常高院だった。
「ですが」
「左様か、貴殿と共に住むということはな」
「江戸に住むことであり」
「江戸に茶々殿がおればな」
「それで、ですね」
「わしもかなり違うが」
人質ということでそこに豊臣の幕府への恭順があるとみなせてことの次第を大目に見ることが出来るというのだ。
「それがわからぬか」
「大坂におられることが絶対とです」
「そうか、ではな」
「はい、それではですか」
「やはりあれしかない、講和わかったと伝えてくれ」
「では」
「講和の条件は後日伝える」
その条件が整い次第というのだ、家康はまずは停戦をさせた。常高院は彼女の仕事を果たしたのだが。
家康は幕臣達を集めてだった、強い声で言った。
「では考えていた通りな」
「鳴かせてみせよ、ですな」
秀忠が聞いてきた。
「そうされますな」
「うむ、やはりそれでいくことになった」
「無理にでもですな」
「大坂から出てもらう為にな」
「ここはあえてですか」
「仕掛ける、思い切ってな」
こう秀忠に話した。
「そうするぞ」
「しかしこの様な簡単な騙し手乗りますか」
柳生はこのことが疑問だという顔だった。
「何処から何処までかと修理殿や大坂の諸将ならすぐに言ってです」
「確実にはさせぬな」
「むしろそれ位ならとです」
「茶々殿をじゃな」
「そう考える将も多いのでは」
「茶々殿が江戸に来ればそれで同じじゃ」
その場合はそれでいいと言う家康だった。
「後はどうとでもなるではないか」
「大坂もですな」
「幕府のものとなる、さすればどのみちじゃ」
「大坂城はですな」
「あそこまで大きくなくともよいしな」
「左様ですか」
「諸将がそう言っても同じでじゃ」
大坂の、というのだ。
「茶々殿
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