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おぢばにおかえり
43部分:第七話 学校に入ってその三
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かればお母さんも安心なんだけれど」
「安心って。私まだ十五なのに」
 空に吸われる十五の心。石川啄木でしたっけ。
「まだそんなの先よ、ずっと先」
「そうかしら。ひょっとしたら」
 それでもお母さんは私に言います。
「高校で年下の彼氏を見つけて。お母さんみたいに」
「お母さんって年下好きだったの」
「うちの家は代々そうよ」
 実はお母さんの家ではお婆ちゃんも曾お婆ちゃんもおばさん達もどういうわけか皆年下の人と結婚しています。凄いいんねんです。悪いいんねんじゃないですけれど。
「千里も多分ね」
「私の好みって福山さんなんだけれど」
 他には俳優さんだと内藤剛志さんとかアイドルだとトキオの長瀬さんとかスマップの香取さんとか特撮だとオダギリさんとか半田健人とか。そういう人達がタイプです。背の高い人が好きかなあ。
「そういう人は」
「うちの家系は代々小柄だから背の高い人がいいのかしら」
「うっ、そういえば」
 お母さんの家系は女は皆小柄です。これも天理教だからでしょうか。おみちの女の人ってとにかく小さい人が多いような気がします。
「そうかも」
「千里は子供の頃結構大きかったのに」
 お母さんは少し残念な顔になりました。
「やっぱり。これもいんねんかしら」
「小柄のいんねん?」
 おかしないんねんなんですけれど。私も背が低いのは気にしています。けれどそれが遺伝じゃなくていんねんっていうのは何か不思議です。
「変な話ね」
「悪いんねんじゃないけれどね」
「そうだけれど」
 それでも何か腑に落ちません。背が低いのがいんねんっていうのは。
「だから背の高い人に憧れるとか」
「そういえばお母さん日曜の朝はいつも」
「羨ましいわ」
 ここで本当に羨ましがる顔になっていました。
「あのヒロインの女の子も一七〇近いのよね」
「そうらしいわね」
 最近までやっていた仮面ライダー龍騎です。この頃やっていたライダーはそれでした。お父さんと妹達が好きなんで観ていました。
「私の家系なんて一五五越えないのに」
「私は越えると思ったんでしょ」
「それがねえ」
 またふう、と溜息をつくお母さんでした。
「結局小さいままだから」
「何かもう背の話止めない?」
 そろそろ東寮が見えてきました。見れば何か学校の校舎に似た感じです。思ったよりも小さいので少し驚きました。

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